株主総会の招集通知はいつまでに発送すべきか?【商業登記】
株式会社において、株主総会を開催する際は、原則として株主に対して招集通知を発送する必要があります。招集通知の発送期限を守らないと、株主総会の決議が無効または取消しとなるリスクがあり、慎重な対応が求められます。
本記事では、商業登記実務の視点から、株主総会の招集通知に関するルールや例外的な取り扱いについて、解説します。
株主総会の招集通知とは?
株主総会を開催するにあたって、株主に対して開催日時・場所・目的事項などを事前に知らせるための文書が「招集通知」です。
・定時株主総会・臨時株主総会を問わず、原則として通知が必要
・招集通知の発送期限を守らないと、商法上の瑕疵となるおそれあり
【基本ルール】招集通知の発送期限
区分 | 発送期限 |
---|---|
公開会社 | 株主総会開催日の2週間前までに発送 |
非公開会社 | 株主総会開催日の1週間前までに発送 |
※「◯週間前」とは、**開催日から起算して◯日間前までに発送(起算日に開催日を含まない)**という意味です。
例:3月22日(水)に株主総会を開催する場合
区分 | 招集通知の発送期限 |
---|---|
公開会社 | 3月7日(火)まで(15日前) |
非公開会社 | 3月14日(火)まで(8日前) |
書面投票制度・電子投票制度を採用した場合
非公開会社であっても、書面投票または電子投票を導入した場合は、発送期限が公開会社と同様になります。
状況 | 招集通知の発送期限 |
---|---|
書面投票制度・電子投票制度を採用 | 株主総会開催日の2週間前まで |
招集期間の短縮が可能なケース
実務上、家族経営などの少人数会社においては、1〜2週間も待たずに株主総会を開きたいケースが多く見受けられます。そのような場合、以下の条件を満たせば招集期間の短縮が可能です。
定款で短縮可能な会社(会社法296条3項)
条件 | 可否 |
---|---|
非公開会社(株式譲渡制限あり) | ○ |
かつ、取締役会を設置していない会社 | ○ |
→ この条件を満たす会社であれば、定款により「招集通知は3日前まで」などの短縮規定を設けることが可能です。
招集期間の短縮ができないケース
以下の会社では、定款で招集期間の短縮を定めることはできません。
条件 | 理由 |
---|---|
公開会社 | 法令により2週間前までの発送が義務付け |
取締役会設置会社(非公開会社でも) | 会社法のルールで短縮不可 |
書面投票制度または電子投票制度を採用している会社 | 発送期限は常に2週間前 |
招集手続きの省略が可能なケース
株主全員の同意がある場合には、招集通知そのものを省略することができます(会社法第300条)。
・招集通知不要
・口頭・非公式でも開催可能(例:全員集合した場で即時開催)
・ただし書面投票または電子投票制度を導入している場合は不可
株主総会の「決議の省略」とは?
会社法第319条により、株主全員が書面または電磁的方法で議案に同意した場合、株主総会を開催しなくても、決議があったものとみなされます(みなし決議)。
項目 | 内容 |
---|---|
利用可能な会社 | 株主が1名または少人数で構成される非公開会社が多い |
条件 | 提案された議案に株主全員が書面等で同意すること |
メリット | 会議不要・議事録不要・迅速な意思決定が可能 |
手続きのご依頼・ご相談
株主総会の招集通知に関するポイントをまとめると以下の通りです。
ポイント | 内容 |
---|---|
招集通知の発送期限 | 公開会社:2週間前、非公開会社:1週間前 |
書面・電子投票制度導入時の発送期限 | すべて2週間前 |
招集期間の短縮 | 非公開+取締役会非設置+定款の定めがあれば可能 |
招集通知の省略 | 株主全員の同意があれば可能(ただし電子投票等がある場合は不可) |
決議の省略(みなし決議) | 株主全員が書面等で議案に同意した場合、総会不要で決議が成立する |
司法書士法人永田町事務所では、株主総会関連の実務(招集通知作成、議事録整備、登記申請など)も多数取り扱っております。
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