株式譲渡したら登記申請は必要?
株式譲渡手続
株式を譲渡したら、登記もしなきゃいけないのかというご質問をよくいただきます。
結論から申し上げると、「株式を譲渡するだけでは、登記申請は不要」です。
しかしなんらの手続きを要しないわけではありません。
今回は株式譲渡と登記申請の関係について、司法書士がわかりやすく解説します。
そもそも登記簿に「株主の名前」は載っていない
商業登記の基本として押さえておきたいのが、登記簿に記載される情報は法律で定められているという点です。
登記簿に記載される主な内容(例)
記載される事項 | 記載されない事項 |
---|---|
商号(会社名) | 株主の氏名 |
本店所在地 | 事業年度 |
資本金の額 | 役員の任期 |
発行可能株式総数 | 株主構成 |
発行済株式の総数 | 株式の取得日 |
役員の氏名・住所 | 株券の有無(※例外あり) |
つまり、誰が株を持っているのかは、登記簿にはそもそも記載されていません。
したがって、株式を譲渡しても登記内容に変化がない限り、登記申請の必要はないのです。
登記が必要になるのはどんなとき?
一見シンプルですが、以下のようなケースでは登記申請が必要になります。
・ 株式を新たに発行したとき(増資)
これは登記簿上の「発行済株式総数」や「資本金」が変わるため、変更登記が必要です。
・ 役員に変更があったとき
株式譲渡により経営体制が変わり、代表取締役などの交代がある場合も登記対象になります。
株式譲渡に登記は不要でも、会社内の手続きは必要
登記はいらないからといって、「何もしなくていい」わけではありません。
実は多くの株式会社には、株式譲渡に制限がかかっているのです。
株式譲渡制限とは?
会社法により、株式会社は「株式を自由に売買できる」会社と「制限付きの譲渡しかできない」会社に分かれます。
ほとんどの中小企業では以下のような定めがあります。
「当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を要する。」
つまり、当事者同士の合意では譲渡は成立しません。
株式譲渡に必要な社内手続き
手続き | 内容 |
---|---|
譲渡承認請求 | 譲渡人が会社に対し「この人に株式を譲渡したい」と請求 |
承認機関の決議 | 株主総会または取締役会で承認を得る |
株主名簿の書き換え | 株主名簿に新株主の情報を記載 |
この中で最も重要なのが「承認機関の決議」です。
承認機関は、定款にどう定められているかによって異なります。
株主総会の承認が必要とされていれば、株主総会の決議が必要となり、取締役会の決議が必要な場合は、取締役会決議によります。
株式譲渡に登記申請は不要、しかし法的手続きは必要
項目 | 登記申請は必要? | 解説 |
---|---|---|
株式の譲渡 | 不要 | 登記簿に株主の情報がないため |
株式の新規発行 | 必要 | 発行済株式数や資本金が変動するため |
承認機関の変更(定款変更) | 必要 | 定款変更は登記対象 |
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