不動産登記手続

不動産購入時の「持ち分」どう決める? 贈与税リスクも解説!

持分の決め方

マイホームや投資用物件を購入する際、単独名義にするのか、夫婦や親子で共有名義にするのか悩まれる方も多いと思います。
その際に重要なのが「持ち分の決め方」です。単に「夫婦だから半々で」や「将来のために子どもの名義も入れておこう」と安易に決めてしまうと、思わぬ税金が発生することもあります。
今回は、不動産の持ち分の基本的な決め方や、よくある落とし穴について解説します。

そもそも「持ち分」とは?

「持ち分(持分割合)」とは、不動産の所有権をどのくらいの割合で持つかを示すものです。
例えば、夫婦で1,000万円の土地を購入し、夫が700万円、妻が300万円を負担した場合、持ち分は「夫7:妻3」となります。
持ち分の割合は、不動産登記簿に記載されるため、後々の売却や相続の際にも影響を与えます。

持ち分は「実際に負担した金額」に応じて決めるのが原則

持ち分は、基本的に不動産購入費用を負担した割合に応じて決める必要があります。

持ち分に含まれる費用の例

・ 不動産の購入代金
・ 不動産取得税や登録免許税
・ 不動産会社への仲介手数料
・ 司法書士への登記手数料
・ 住宅ローンの頭金や返済額(夫婦共同で返済する場合など)

持ち分に含まれない費用

・ 引っ越し代
・ 家具・家電の購入費用
・ 日常生活費

「夫婦で一緒に住むから」「親子で住むから」という理由だけで、実際に支払っていない人の名義を入れてしまうと、思わぬ税負担が発生するリスクがあります。

よくある持ち分設定ミスと贈与税のリスク


① 夫が全額負担したのに、持ち分を半分ずつにした場合

ケース
夫が3,000万円の物件を住宅ローンで購入し、実際の支払いも夫が全額負担。しかし、「夫婦で一緒に住むから」と、持ち分を「夫50%・妻50%」にした。

発生するリスク
夫が支払ったお金の半分(=1,500万円)を妻が負担したことになり、夫→妻への贈与とみなされる可能性があります。贈与額が年間110万円(基礎控除額)を超えると、贈与税の対象となり、数百万円単位の税金が発生することもあります。

② 親が負担したのに、子どもの名義を入れた場合

ケース
親が全額負担して子どもが住む予定の家を購入し、「将来のために」と子どもの名義を入れた。

発生するリスク
親→子への贈与とみなされ、子どもに多額の贈与税が発生する可能性があります。学生の子どもで収入がない場合でも、贈与税は発生します。

夫婦で住宅ローンを組む場合の持ち分は?

夫婦で共同ローンを組む場合は、それぞれの負担額に応じて持ち分を決める必要があります。


・住宅価格 4,000万円
・夫が2,500万円のローンを組み、妻が1,500万円のローンを組んだ場合
→ 持ち分は 夫 62.5%(2,500万円)/妻 37.5%(1,500万円)

「連帯保証人」と「連帯債務者」は違う
夫がローンを借りて、妻が「連帯保証人」になるだけでは、妻の持ち分は0%です。ローンの支払いをしていない=所有権はないと判断されるため、注意しましょう。

どうすれば最適な持ち分にできる?

持ち分を適正にするためのポイント
・ 購入前に誰がどのくらい負担するかを明確にする
・ 共有にする場合は、必ず負担割合に応じた持ち分にする
・ 夫婦で共同ローンを組む場合は、持ち分とローン負担を揃える
・ 将来的に贈与税の問題が発生しないか、税理士や司法書士に相談する

「将来のために」「家族で住むから」といった理由で安易に持ち分を決めると、税務リスクが発生する可能性があります。住宅購入は大きな決断なので、持ち分についても慎重に検討しましょう。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、持分の決め方とその注意点について解説しました。本コラムをまとめますと、

・ 持ち分は、不動産の購入費用を実際に負担した割合で決めるのが原則
・ 適正な持ち分にしないと、贈与税が発生する可能性がある
・ 夫婦や親子で共有にする際は、事前に専門家に相談するのが安心

新しい家を購入する際、後々のトラブルを防ぐためにも「持ち分の決め方」はとても重要です。
名義の入れ方や持ち分でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。税理士や司法書士と連携し、最適な方法をご提案いたします。
不動産登記手続きに関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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