相続した不動産を売却するには?流れや節税対策、注意点を解説
相続した不動産の売却
家族から相続した不動産を売却したいと考えているものの、「どのような手続きが必要なのか?」「税金はどれくらいかかるのか?」 といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
相続した不動産を売却する際には、一般の不動産売却とは異なる相続登記の手続きや税金の申告、特例の活用など、注意すべき点がいくつかあります。
本記事では、相続した不動産を売却するまでの流れや、節税対策、注意点 について詳しく解説します。
相続した不動産を売却する流れ
相続した不動産を売却する際の大まかな流れは、以下のとおりです。
2.相続財産と相続人を確定する
3.遺産分割協議を行う(必要な場合)
4.相続登記(名義変更)を行う
5.不動産会社に売却の依頼をする
6.買主と売買契約を結ぶ
7.残金決済・引渡しを行う
8.相続税の申告・納付を行う(必要な場合)
9.譲渡所得税の確定申告を行う(必要な場合)
それぞれのステップを詳しく解説していきます。
1.遺言書の有無を確認する
まず、被相続人(亡くなった方)が遺言書を残しているかどうか を確認します。
遺言書がある場合、その内容に従って不動産を売却できるか判断します。
特に 「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」 は、開封前に家庭裁判所の検認手続きが必要なので注意が必要です(※法務局で保管された自筆証書遺言は検認不要)。
遺言書がない場合は、相続人全員で話し合い、遺産分割協議 を行う必要があります。
2.相続財産と相続人を確定する
次に、相続する不動産の詳細や、法定相続人を確定します。
不動産の確認方法
→ 固定資産税の納税通知書や、不動産登記事項証明書を確認する
相続人の確定方法
→ 被相続人の戸籍を出生から死亡まで遡って取得し、相続関係を確認する
3.遺産分割協議を行う(必要な場合)
相続人が複数いる場合、誰が不動産を相続するのかを決めるために 「遺産分割協議」 を行います。
話し合いがまとまったら、「遺産分割協議書」 を作成し、全員が署名・押印(実印)し、印鑑証明書を添付します。
4.相続登記(名義変更)を行う
不動産を売却するには、まず被相続人から相続人へ名義変更(相続登記) をしなければなりません。
相続登記は2024年4月から義務化され、取得を知った日から3年以内に申請しないと過料(最大10万円)の対象 となる可能性があるため、早めに手続きを行いましょう。
5.不動産会社に売却の依頼をする
相続登記が完了したら、不動産会社に売却の依頼をします。売却方法には以下の2つがあります。
・仲介(買主を探して売却) → 時間はかかるが高値で売却しやすい
・買取(不動産会社に直接売却) → 売却価格は下がるが早く売れる
希望に応じて適切な方法を選びましょう。
6.買主と売買契約を結ぶ
買主が見つかったら、売買契約を締結し、手付金を受け取ります。
7.残金決済・引渡しを行う
売却代金の残金を受け取り、不動産の引渡しを行います。
8.相続税の申告・納付を行う(必要な場合)
相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合 は、相続税の申告・納付が必要です。
相続税の申告期限は 「相続開始(被相続人が亡くなった日)から10ヶ月以内」 なので、期限を過ぎないように注意しましょう。
9.譲渡所得税の確定申告を行う(必要な場合)
相続した不動産を売却して 譲渡益(売却益)が出た場合 は、譲渡所得税(所得税+住民税) の確定申告が必要です。
ただし、特例を活用すれば節税できます。
相続した不動産を売却する際の節税対策
利用できる特例
相続した不動産の売却時に使える主な特例は、以下の3つです。
①居住用財産の3,000万円特別控除
→ マイホームとして使用していた不動産 を売却すると、譲渡所得から 3,000万円 まで控除可能
②相続空き家の3,000万円特別控除
→ 相続した空き家を売却 する場合、一定の条件を満たせば 3,000万円まで控除可能
③取得費加算の特例
→ 相続税を支払った場合 は、その一部を取得費に加算し、譲渡所得を減額できる
相続した不動産を売却する際の注意点
① 早めに売却を検討する
相続した不動産は 3年以内に売却することで、税金面での特例を受けやすくなります。
② 相続登記は必ず行う
相続登記をしないと、次の相続が発生した際に手続きが複雑化 するため、早めに名義変更を行いましょう。
③ 特例の適用条件を確認する
特例による節税を考えている場合は、適用要件を事前に確認し、計画的に売却を進める ことが重要です。
手続きのご依頼・ご相談
相続した不動産を売却するには、相続登記を完了させた上で売却手続きを進める必要があります。
また、税金対策として適用できる特例があるため、事前に確認しておくことが重要です。
相続登記手続きに関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。