公告 / 登記申請手続(各種)

官報公告から電子公告へ変更をする場合の手続き

公告方法の変更

会社の公告方法は、登記事項であり、登記された公告方法によって会社の重要な情報(決算公告や解散公告など)を利害関係者に知らせます。
公告方法は、①官報、②日刊新聞、③電子公告のいずれかを定款に定めることが可能です(定款に公告方法の定めをしない場合は、その会社の公告方法は官報公告となります(会社法939条4項))。
官報公告は公的な信頼性が高いものの、掲載費用が高額であることがネックとなる場合があります。
一方、電子公告は自社のウェブサイトで公告を行うため、コスト削減や柔軟な運用が可能です。このため、多くの企業が電子公告への変更を検討しています。
会社の公告方法を「官報公告」から「電子公告」に変更する場合、手続きにはいくつかのステップが必要です。

公告方法変更の基本手順

①定款の変更決議
公告方法を電子公告とする場合、当該公告方法は定款記載事項となります。
公告方法を「官報公告」から「電子公告」へ変更するには、株主総会で定款変更の決議を行う必要があります。

必要書類:
・株主総会議事録(特別決議での可決が必要)
・株主リスト(法定形式に基づくもの)

②予備的公告方法の検討
電子公告を選択する場合、システム障害などでウェブサイトにアクセスできない場合に備え、予備的公告方法(官報または日刊新聞による公告)を定めることが可能です(会社法939条3項)。

予備的公告方法の例:
「但し、やむを得ない事由によって電子公告による公告を行なうことができない場合は、官報に掲載する方法により行う。」
「但し、やむを得ない事由によって電子公告による公告を行なうことができない場合は、日本経済新聞に掲載する方法により行う。」

予備的公告方法について定める場合、併せて株主総会で決議し、定款に反映します。
予備的公告方法を定めない場合は、登記簿は、シンプルに、下記のような記載になります。

電子公告により行う。
https://●●●●

③ 定款変更後の登記申請
定款変更後、変更内容を法務局に登記申請します。
登録免許税額は、金3万円となります。

電子公告の要件と注意点

電子公告の要件と注意点は次のとおりです。

① ウェブサイトの用意
電子公告の内容を掲載するウェブサイトを準備する必要があります。この際、以下の点に注意してください:
・公告専用ページを設ける
公告ページが第三者から容易にアクセス可能であること
サイトの信頼性を確保する(SSL化など)

② 電子公告アドレスの登記
電子公告用ウェブサイトのURLを登記する必要があります。
このアドレスは、会社の登記簿に記載されるため、正確に記載しましょう。

公告アドレスの決定

公告アドレスの決定は、代表取締役において行います。
代理人申請の場合は、登記委任状に、URLを記載すればよく、別途公告URLを決定したことを証する書面の添付は必要ありません。
代理人申請で登記委任状にURLを記載しない場合は、URLを決定したプロセスが確認できないため、代表取締役の決定書を添付します。
本人申請の場合は、直接登記申請書の登記すべき事項にURLを記載すれば、他になんらの書類を要しません。

貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項

公告方法が、官報または日刊新聞による方法である場合に限り、決算公告については、ウェブで公告掲載する制度(電磁的開示制度)を利用することができます。
電子公告を公告方法とする会社においては、電磁的開示の制度を採用することはできませんが、実質的同意義のものとして、貸借対照表の公告のためのURLを別に定める事が可能です。

記載例:
電子公告により行う。
https://●●●●
但し、やむを得ない事由によって電子公告による公告を行なうことができない場合は、官報に掲載する方法により行う。
貸借対照表の公告
https://●●●●



公告方法が電子公告の会社の場合は、実質同様の貸借対照表の電磁的開示(会社法440条3項)の措置をとることはできないため、その代わり電子公告のURLについて、一般的な公告用URLの他、貸借対照表を掲載する用のURLを定めることができます。
電子公告へ変更する旨の登記申請をすると、これまで定めていた「貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項」は職権抹消されるため、あえて廃止の登記申請をする必要はありません。


手続きのご依頼・ご相談

本日は、官報公告から電子公告へ変更をする場合の手続きについて解説しました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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