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所在不明株主に対する処理とは?株式を売却できる場合について解説

所在不明株主に対する処理とは?株式を売却できる場合について解説


所在不明株主とは

所在不明株主とは、その名の通り所在が不明な株主のことです。会社法上、株主名簿に記録された住所もしくは通知先に通知や催告が5年以上継続して到達せず、かつ、継続して5年以上配当金を受領していない株主のことを指します(会社法197条1項1号、2号)。
株主の適正な管理のためにも、所在不明株主に対しては何らかの処理を行うのが得策だと考えられます。
このコラムでは、所在不明株主に対する3つの処理方法を簡単に解説していきます。

所在不明株主に対する3つの処理方法

所在不明株主に対する処理は、主に次の3つです。

・本人もしくは相続人の探索し株式買取交渉を行う
・裁判上の手続きによる競売・買取
・スクイーズアウトを活用する


本人もしくは相続人の探索し株式の買取交渉を行う

1番オーソドックスな方法として考えられるのは、本人もしくは相続人(本人が亡くなっている場合)を探し出して、直接、株式の買取交渉を行うことでしょう。
株主名簿に記載されている住所等から、住民票・戸籍謄本等・法人登記簿等を取り寄せ、現住所の調査を行うのが一般的です。
ただし、株主名簿に記載されている住所だけでは最後まで追い切れない場合があるだけでなく、株主名簿が整理されていない場合には、有効な対処法にはならない可能性が高いです。

裁判上の手続きによる競売・買取

所在不明株主であっても、本人の同意が得られない以上、強制的に株式を買い取ることはできないのが原則です。
ただし、会社法では、次の4つの要件を満たす場合には、裁判所の手続きを経ることで、例外的に所在不明株主の株式を競売もしくは買取を行うことができます。

・株主への通知および催告を省略できること(株主への通知または催告が5年以上継続して到達しないこと)(会社法197条1項1号、196条1項)
・所在不明株主が継続して5年間剰余金の配当を受領しなかったこと(会社法197条1項2号)
・所在不明株主、その他の利害関係人が、一定期間(3か月以上)内に異議を述べることができる旨等を公告し、かつ個別に催告すること(会社法198条1項)
・裁判所の手続を経ること(競売または裁判所の売却許可)(会社法197条1項、2項)



なお、所在不明株主の株を競売もしくは売却した場合には、その代金を株主に交付する必要がありますが、株主が所在不明であるということもあり、当該代金を供託することで債務を免れることも可能です(民法494条)。

スクイーズアウトを活用する

要件を満たさず、裁判所を通して所在不明株主の株式を処理できなくても、スクイーズアウト(少数株主から強制的に株式を取得する方法)の制度を利用することで、所在不明株主の地位を失わせることができる場合があります。
この場合、「特別支配株主の株式等売渡請求」もしくは「株式併合」を活用するのが一般的です。
特別支配株主の株式等売渡請求であれば、株主総会決議が不要であることから短期間で所在不明株主の保有株式を取得できます。
また、株式併合であれば、株式併合後の所在不明株主の保有株式数が1株未満となるような割合で株式を併合し、所在不明株主の保有株式を強制取得することになります。

手続きのご依頼・ご相談

所在不明株主に対する処理のポイントは、「探索」「裁判上の手続き」「スクイーズアウト」の3つです。
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