会社役員の兼任制限とは?法律上と契約上の制限をわかりやすく解説
会社役員の兼任制限とは?法律上と契約上の制限をわかりやすく解説
会社役員の兼任制限
会社を設立する場合、会社法に規定されている兼任制限にかからないかをチェックする必要がありますが、この兼任制限は、法律上だけでなく、契約上兼任の制限が設けられている場合があります。
このコラムでは、会社役員の兼任制限について、法律上および契約上の観点からわかりやすく解説していきます。
法律上の兼任制限について
ここでは、実務上に問題になり得る監査役の兼任禁止規定について解説していきます。
会社法では、監査役の兼任について、次のように規定しています。
2 監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。
監査役は一部を除き基本的に兼任をすることができません。これは、取締役等を監視する立場にある監査役が、清廉潔白な業務を行うことを期待されているからです。
同じ理由で、親会社から見て弱い立場にある子会社の取締役等は、親会社の監査役を行うことができません。
一方で、親会社の取締役等が子会社の監査役を兼任することは可能です。この場合、立場の違いにより監査役の業務が疎かになることは考えにくいからです。
契約上の兼任制限について
株主間契約などで「経営株主の職務専念義務」などを定めていた場合には、役員を兼任するにあたって事前に投資家の承諾が必要になります。
たとえば、スタートアップがベンチャーキャピタル(VC)などの投資家から資金調達をする際は、キャピタルゲインを得る確率を上げるために、投資先のスタートアップ経営者との間で、経営に専念してもらうことを約束してもらうケースが多いです。
契約内容にもよりますが、「経営株主は当該会社の業務に専念し、他の会社や団体、組織などの役員等又は従業員を兼務又は兼職しないものとする」などと規定されていた場合、法律上と同じように兼任が禁止されることになります。
株主間契約があるにもかかわらず、投資家の承諾を得ずに別会社を設立し、その会社の役員に就任してしまうケースもあります。
発起人会社の登記簿に、取得請求権付き株式や取得条項付き株式などの種類株式が発行されている場合には、株主間契約があることを疑っておく必要があります。
手続きのご依頼・ご相談
会社役員の兼任制限には、法律上と契約上の2つの制限があります。
契約上の制限の場合、株主間契約があることを知らずに、他会社の役員と兼任してしまうケースも珍しくありません。
本日は、法律上と契約上の会社役員の兼任制限について解説いたしました。
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