役員等の責任とは?会社・第三者に対する責任と要件を簡単に解説
役員等の責任とは?会社・第三者に対する責任と要件を簡単に解説
役員が損害を加えた場合の責任
役員が損害を加えた場合の責任
取締役などの会社役員が、会社や第三者に損害を加えた場合、その損害を賠償する責任を負います。
役員等が責任を負うことになる原因については会社法で詳細に規定されていますが、具体的にどのような責任を負うことになるのか、よくわからない方も多いと思います。
この記事では、役員等の会社や第三者に対する責任について、その原因や要件をわかりやすく解説します。
会社に対する責任
取締役が会社に対して負う責任は次の通りです。
任務懈怠 | 任務を怠ったことにより会社に損害を生じさせた場合、その損害を賠償する責任を負う(会社法423条1項) |
取締役と会社との利益相反取引 | 任務を怠ったことにより会社に損害を生じさせた場合、それを賠償する責任を負う(会社法356条1項) |
株主権の行使に関する利益供与 | 株式会社がこの規定に違反して財産上の利益の供与をしたときは、当該利益の供与をすることに関与した取締役として法務省令で定める者は、当該株式会社に対して、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う(会社法120条4項) |
剰余金の配当等に関し分配可能額の超過・欠損が生じた場合 | 分配可能額を超えて剰余金分配がされた場合、取締役等は、分配された額を会社に支払う義務を負う(会社法462条1項) |
出資の履行に瑕疵がある場合 | 募集株式における現物出資財産の価額が著しく不足している場合、株式会社に対し、同号に定める額を支払う義務を負う。(会社法213条1項) |
取締役と会社との関係は委任契約関係であり、会社に対して善管注意義務や法令遵守義務、忠実義務や競業避止義務を負います。
そのため、これらの義務に違反し、会社に対して損害を与えた場合には、その損害を賠償する義務が認められるのです。
第三者に対する責任
取締役などの役員等が、その職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います(会社法429条1項)。
会社は経済社会において重要な地位にあり、かつ会社の活動は基本的に取締役の職務執行に依存しています。
そのため、会社の行いで第三者に損害が出た場合には、それによって損害を被った第三者を保護する必要があるのです。
第三者に対する責任が認められる要件
会社法429条1項によると、役員等の第三者に対する責任が認められるための要件は、次の通りです。
①取締役がその職務を行うについて任務懈怠(義務違反)があったこと
②取締役に悪意又は重大な過失があったこと
③第三者に損害が生じたこと
④取締役の任務懈怠と第三者の損害に因果関係があること
なお、429条1項における「損害」には、第三者が直接被った損害(直接損害)だけでなく、間接的に被った損害(間接損害)も含まれます。たとえば、経営難で将来的に返せる見込みがないのに借り入れをした場合、それによって第三者に与える損害は、直接損害に当たります。
一方、取締役の任務懈怠によって会社が倒産した結果、会社債権者が債権回収ができないなどの損害を与えた場合、その損害は間接損害に当たります。
手続きのご依頼・ご相談
役員等が会社や第三者に対して損害を与えた場合、損害を与えた会社や第三者に対して損害を賠償する責任を負います。
具体的にどのような場合に責任を負うことになるかは、具体的なケースにおける法律的な判断が必要になります。
会社法人登記関係(商業登記)に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。