発行済みの普通株式を種類株式に転換(変更)する手続きをわかりやすく解説
発行済みの普通株式を種類株式に転換(変更)する手続きをわかりやすく解説
種類株式の利用
種類株式を利用することで、経営権(支配権)を強化することができますが、一方で、新たに株式を発行することで資本金が増加し、株主構成も大きく変わってしまうなどのデメリットもあります。
ここで、発行済みの普通株式の一部を種類株式に変更できれば、種類株式を発行せずにそのニーズを満たすことができます。
このコラムでは、発行済みの普通株式を種類株式に転換(変更)する手続きをわかりやすく解説していきます。
種類株式とは?
種類株式とは、剰余金の配当を受ける権利(会社法105条1項1号、453条)や株主総会の議決権(105条1項3号、308条)など、普通株式で認められる権利の一部を制限したり、また、一定の要件を満たす場合に、会社が強制的に株主から株式を取得できることを定めた株式です(会社法108条)。
種類株式であれば、株主のニーズに応じた内容の株式を発行できるため、資金調達がしやすくなるというメリットがあります。
種類株式を利用する方法
種類株式を利用する場合、新たに種類株式を発行する方法と、すでに発行している株式の一部について、株式の内容を転換(変更)して種類株式にする方法の2つがあります。
すでに発行済みの普通株式を種類株式に転換(変更)するためには、種類株式の内容や発行可能種類株式総数を定款に記載しなければなりません(会社法108条2項)。
また、種類株式の内容と発行可能種類株式総数は登記事項でもありますので、登記申請手続きもする必要があります(会社法911条3項7号)。
発行済みの普通株式を種類株式に転換(変更)する手続き
種類株式を新たに発行する場合と異なり、発行済みの普通株式を種類株式に転換(変更)する手続きは、会社法で規定されていません。
実務上は、法務局の見解(登記先例:昭和50年4月30日民四2249号)に沿って手続きを進めます。
・種類株式への転換(変更)について、株主総会における定款変更の特別決議
・株式会社と種類株式に変更する株式を保有する株主との合意
・他の株主全員から同意を得る(特定の条件に該当する場合)
・法務局へ登記申請を行う
・種類株式への転換(変更)について、定款変更決議を行った際の株式総会議事録
・株式会社と種類株式に変更する株式を保有する株主との合意書
・他の株主全員の同意書(特定の条件に該当する場合)
たとえば、発行済みの普通株式を優先配当種類株式に変更する場合、種類株式に変更する株式を有している株主以外も、不利益が生じてしまう可能性があります。
そのため、1人でも変更に反対する株主がいる場合には、普通株式から種類株式への変更ができないことになります。
手続きのご依頼・ご相談
発行済みの普通株式を種類株式に転換(変更)するためには、株主総会で定款変更にかかる特別決議や、特定の条件に該当する場合株主全員の同意が必要になります。
本日は発行済みの普通株式を種類株式に転換(変更)する手続きについて解説しました。
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