役員の兼任禁止規定を横断的に解説
会社役員の兼任禁止規定とは?監査役や取締役は兼任できるか解説
役員の兼任禁止規定
会社法では、会社組織におけるいくつかの役職で、兼任禁止を設けています。
それぞれの役職が自分の職責を果たし、公平性・透明性を確保するためには、同時に複数の役員に就くことを禁止する必要があります。
この記事では、会社役員の兼任禁止規定についてわかりやすく解説していきます。
兼任禁止の理由とは?
会社法で任禁止規定が設けられている理由は、職務の公平性・透明性を確保し、もって健全な会社運営を行うことです。
たとえば、取締役の業務を監視・監督する立場の監査役を取締役が兼任した場合、自分で自分のことを監督することになるため、適切な監督業務を行うことができません。
また、会社の従業員が監査役を兼任する場合、取締役が、指揮下にあった従業員に対して圧力を加える可能性もあり、本来の監督業務ができないおそれがあります。
監査役の兼任禁止規定
会社法で規定されている監査役の兼任禁止規定は、次の通りです。
監査役との兼任が禁止されているのは、次の職務です(会社法335条2項)。
・子会社の取締役・支配人・使用人
・子会社の会計参与・執行役(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)
なお、取締役には代表取締役も含まれます。
監査等委員である取締役の兼任禁止規定
監査等委員である取締役との兼任が禁止されているのは、次の職務です(会社法331条3項)。
・子会社の業務執行取締役・支配人・その他の使用人
・子会社の会計参与・執行役(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)
監査委員会の委員の兼任禁止規定
監査委員会の委員との兼任が禁止されているのは、次の職務です(会社法400条4項)。
・子会社の執行役・業務執行取締役
・子会社の会計参与・支配人・その他の使用人(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)
指名委員会等設置会社の取締役の兼任禁止規定
指名委員会等設置会社の取締役の兼任禁止規定は、次の通りです(会社法331条4項)。
なお、指名委員会等設置会社の取締役と執行役は兼任可能です(会社法402条6項)。これは、執行役兼任取締役を通じた情報提供が有用な場合もあると考えられているからです。
会計参与の兼任禁止規定
会計参与の兼任禁止規定は、次の通りです(会社法333条3項1号)。
・子会社の取締役・監査役・執行役・支配人・その他の使用人
会計監査人の兼任禁止規定
会計監査人の兼任禁止規定は、次の通りです(会社法337条3項)。
・株式会社の子会社若しくはその取締役、会計参与、監査役若しくは執行役から、公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者、またはその配偶者
・監査法人でその社員の半数以上が前号に掲げる者であるもの
手続きのご依頼・ご相談
会社法では、役員に対してさまざまな兼任禁止規定を課しています。
会社組織の件や会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。