発起設立における払込み、タイミングや払込口座など
発起設立における払込み
発起設立と募集設立
発起設立と募集設立
会社設立には、発起設立と募集設立があります。発起人が設立時株式の全部を引き受ける方法によって設立する方法を発起設立といいます(会社法25条1項1号)。発起人とは、定款に署名した者をいいます。発起人は、次に掲げる事項を定めたときは(定款に定めのある者を除く)、発起人全員の同意を得なければなりません。
②設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
③成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
出資金の払込み
発起人は、設立時発行株式の引き受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません。
株式会社の株主は有限責任となります。会社は、会社設立前までに、会社債権者の担保となる会社財産を確保する必要があります。
会社債権者の保護を図ることを目的とし、発起人は会社設立前までに払込金額全額の払い込み・現物出資全部の給付を済ませる必要があります。
払込みのタイミング
上述した「設立時発行株式の引き受け後」とは、以前は、定款に定めた日または発起人全員の同意があった日以降のことを指していました。
これは、公証人による定款認証以前の日付であっても定款作成日後であれば問題ないとこれまではされていましたが、令和4年より定款作成日よりも前に払込みをしたとしても当該設立に際して出資されたものと認められるものであれば、当該払込証明書をもって設立登記申請の添付書類として使用できるということとなりました。
従って
また、株式に関する事項は原始定款に記載しておく必要はないと考えられ、定款に記載のない場合は発起人全員の同意によって定めることができます。
払込口座
出資金の払い込みは、発起人が定めた銀行などの払込み取扱い場所においてしなければなりません(会社法34条2項)。銀行などとは、以下のことを指します。
-信用金庫
-労働金庫
-信託銀行
-日本国内の銀行の日本国内本支店
-日本国内の銀行の海外支店
-海外銀行の日本国内支店
口座の名義人は、原則発起人の口座にする必要があります。しかし、発起人以外の口座を利用することも可能です。設立時代表取締役の口座を利用するには、発起人から設立時取締役への権限付与の委任状を要します。また、発起人・設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していない場合には、発起人から第三者へ出資金受領の委任をすることで第三者の口座を利用することが可能になります。この場合も委任状が必要となります。
発起設立の場合は、金銭の払い込みがあったことを称する書面を添付し、会社設立登記の申請を行います。払込証明書は、設立時代表取締役が作成した証明書と合綴して添付します。払込証明書は、以下の二つのいずかであることを要します。
①払込みのあった銀行等の口座の写し
②取引明細表などの銀行等が作成した書面
会社法には、発起人の払込に関する規定が定められています。発起人は、会社法に定められた規定を遵守し、会社設立前に払込金額全額の払い込み・現物出資全部の給付をし、払込証明書を設立登記の添付書類として提出する必要があります。
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本日は発起設立における払込みについて解説しました。
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