組織再編

略式合併および簡易合併における株式買取請求とは?認められない場合とは?

略式合併および簡易合併における株式買取請求とは?制度の概要について解説


会社法改正の影響

従来、略式合併および簡易合併の要件を満たす場合には、消滅会社および新設会社全ての株主に、株式買取請求権が認められていました。
しかし、会社法の改正により、現在では株式買取請求権を行使できない場合が存在します。
このコラムでは、略式合併および簡易合併における株式買取請求権について、その権利行使が制限される場合について解説します。

株式買取請求権とは

株式買取請求権とは、株主が保有している株式を、株式発行会社に対して「公正な価格」での買取を請求する権利のことです。
株式買取請求権の請求権者や、権利行使可能な期間、公正な価格を裁判所に決めてもらうための申し立て期間について、それぞれ会社法で制限されています。
なお、「公正な価格」とは、原則、反対株主が株式買取請求をおこなった日における株式の価格のことです。

略式合併および簡易合併とは

会社合併の場面では、原則、株主総会決議による合併契約の承認が必要です(会社法795条1項)。
しかし、合併手続きの便宜上、一定の要件を満たす吸収合併であれば、株主総会決議を省略することが認められています。これを、簡易合併といいます(会社法第796条2項)。
また、存続会社が消滅会社の議決権の90%以上を保有している場合には、消滅会社の株主総会を開催しても合併契約の承認が得られることがあきらかです。そのため、合併当事者が特別支配関係にある場合には、消滅会社における株主総会の承認が不要とされており、これを「略式合併」といいます(会社法第796条1項)。

略式合併における株式買取請求権

略式合併の場合、特別支配会社については、株式買取請求が認められていません(会社法785条2項2号かっこ書、796条2項2号かっこ書)。
存続会社が消滅会社の特別支配会社である場合には、合併契約の承認に関する消滅会社の株主総会の決議は不要です(会社法784条1項本文)。
したがって、消滅会社の特別支配会社に株式買取請求を認める合理的理由が認められないことから、権利行使が否定されています。

簡易合併における株式買取請求権

簡易合併の場合、反対株主の全員が株式買取請求を認められていません。
簡易合併の場合、株主に及ぼす影響が軽微であることから、存続会社においては、合併契約の承認にかかる株主総会決議が不要となります。
株式買取請求の趣旨は、会社組織の本質を変更することで既存株主の地位に大きな影響を与える場合に、その合併に反対する場合には、投下資本を回収する機会を与えることにあるため、簡易合併における反対株主には、株式買取請求権が認められないことになるのです。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、略式合併および簡易合併における株式買取請求について解説しました。
略式合併における特別支配会社および簡易合併における反対株主には、株式買取請求権が認められていません。
合併や会社法人登記手続きに関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。


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