外国法人や外国人が発起人の場合の会社設立、日本に口座がない外国人の払込みの特例措置など
外国法人や外国人が発起人の場合の会社設立、日本に口座がない場合の払込みの特例措置など
発起人や役員が外国人の場合の会社設立
外国法人や外国人が日本において会社を設立する場合、日本の会社法に準拠して、他の会社設立と同様の手続きによって設立することが可能です。
しかし、発起人となる外国法人は、海外の法に準拠して設立されているため、いくつかの注意点があります。今回は、外国法人の子会社設立登記について解説していきます。
具体的な手続き
日本における法人設立の手順に従います。まず定款については、親会社が外国法人の場合は、定款に英語を表記するか、定款の英訳を作成することが必要となります。英語併記した定款も認証が可能です。
定款には、発起人全員が実印で各ページに契印する、または袋綴じして綴じ目に契印をします。しかし、外国人や外国法人が発起人の場合で印鑑がない場合には、割サイン、捨てサイン、袋とじにサインする、余白にサインする(またはイニシャルを記入する)こともできます。通常代理人に委任すると思いますのでこの場合は、定款認証委任状に押印又はサインをします。
また発起人が外国法人の場合は、資格証明書として「宣誓供述書」を作成し本国で認証を受け、これらを公証役場に提出します。
事業目的、業種によっては、許認可を受けなければ営業や業務を行うことができない場合もあるので事前に必ず確認が必要です。
また、事業内容や国によっては、外為法の事前届出が必要になる場合があります。この場合、届出をしてから30日を経過するまでは設立登記ができないので注意が必要です。事前届出が必要ない場合は、設立登記申請後に外為法の事後報告を行います。
日本に住所を有さなくても登記可能
以前までは、取締役の一人が日本に居住していなければなりませんでしたが、現行法では取締役の全員が外国居住者であっても、会社の設立は可能です。
出資金の払込み方法
会社を設立するにあたり、発起人は出資金全額の払込をしなければなりません。
外国法人が発起人の場合でも、出資金の全額を発起人名義の預金口座に振込む必要があります。発起人名義の預金口座として認められるものは以下の三つです。
②日本国内銀行の海外支店
③海外銀行の日本国内支店
外国人法人が上記の銀行口座を有していない場合、設立時取締役の個人名義の預金口座に出資金を受領する預金口座とすることも可能です。
ところが、先にも述べたように、新法によって、取締役の全員が日本に居住していない場合が多いのが現状です。取締役の全員が上記①~③の口座を有さない場合は、さらなる特例措置として、発起人及び設立時取締役以外の第三者の預金口座を出資金を受領する預金口座とすることが可能です。この場合、当該第三者に対する委任状の添付を要します。
手続きのご依頼・ご相談
本日は外国法人や外国人が発起人となる場合の日本における会社設立について解説しました。
このように、外国法人による子会社の登記は、通常の会社の設立登記に比べて手続きが複雑化する場合もございますので、手続きをスムーズに行うために、専門家に依頼することをお勧めします。
会社設立に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。