一般財団法人(設立) / 法人設立 / 相続、遺産承継業務

遺言で一般財団法人を設立する具体的方法解説!財団法人の一例などをご紹介

遺言で一般財団法人を設立する方法


遺言による一般財団法人設立

日本は少子高齢化が加速しており、多額の財産があるものの相続人がいないといったケースも少なくありません。
また、相続財産の一部を死後、社会貢献のために使いたいと考えている方も増えています。死後に地方自治体などに寄付をする遺言を残すといった方もいますが、もう1つの方法として一般財団法人を設立する方法もあります。寄付行為としての遺贈では、遺産の使われ方は遺贈された人や団体次第で亡くなる方が希望した使われ方はしないかもしれません。
これに対して、遺言で一般財団法人を設立する場合、設立目的や事業の目的などを定めることが可能です。
遺産をもとに公益を問わず、収益事業なども行うことができるので、自由度も高まります。

遺言による設立方法

設立者は遺言で定款記載事項を定めて一般財団法人を設立する意思表示をすることが可能です。
この場合、遺言執行者は遺言の効力発生後、遅滞なく当該遺言で定めた事項を記載した定款を作成し、これに署名又は記名押印(電子定款の場合は電子署名)しなければなりません(法人法152条2項後段)。
遺言は2人以上のものが同一証書ですることは出来ません(民法975条)。そのため、遺言によって一般財団法人を設立する場合の拠出者は1人となります。
また法人はその性質上遺言をのこすことは出来ませんので、法人は遺言による設立をすることは出来ません。

具体的な手続きの流れ

遺言で一般財団法人を設立する場合は、上述のとおり遺言書にその旨を明記します。遺言がスムーズに実行されるよう、遺言執行者を定めておくことも必要になります。
また、一般財団法人を設立するのに最低限必要となる300万円以上の財産を遺産として残し、それを拠出できるように明記しておきましょう。具体的な手続きの流れは次のとおりです。

生前に行うべきこと

まず、生前に遺言書で一般財団法人を設立する意思を明記し、定款に記載すべき内容を遺言で定めておきましょう。
この2つの項目のほか、民法に定められた遺言の作成ルールに従い、不備なく記載することが大切です。万が一、不備があると、遺言内容が無効となるおそれがあります。この点、公正証書遺言などを利用し、不備を避けるのがおすすめです。

死後に行うべきこと

亡くなられた後、その遺言の実行が行われます。法定相続人やご遺族などではなく、遺言執行者という立場を定めた人が実行する必要があります。遺言執行者がいない場合は、家庭裁判所に申し立てをして選任してもらわなければ遺言の内容を実現することは出来ません。
遺言執行者は、遺言にもとづき、一般財団法人を設立するための定款を遅滞なく作成し、公証人の認証を受けなくてはなりません。
次に、遺言執行者は300万円以上の財産の拠出の履行をします。続いて、定款で設立時評議員・設立時理事・設立時監事を選任します。

遺言に具体的な指名がなかった場合は、定款の定めにもとづき選任が必要です。選任された設立時理事と設立時監事が、設立手続きの調査を行います。
設立時理事が、一般財団法人を代表すべき設立時代表理事を選定することが必要です。設立時代表理事は、法定の期限内に主たる事務所の所在地を管轄する法務局に設立の登記申請を行い、設立登記が完了すれば、遺言にもとづき定款に定められた事業を行えるようになります。

一般財団法人の一例

一般財団法人としてできることは幅広くありますが、遺言によって行われる例でも多いのが美術館の運営です。
コレクションしてきた絵画などの美術品を遺産として拠出し、文化の形成などに貢献することができます。
書籍などを拠出して図書館を作る場合や博物館などを運営するのもよくあるケースです。
また、近年では遺産をもとに頑張っている学生や家庭の貧困などで学費が得られない学生を支援する奨学金事業を行う場合、地球温暖化防止のための再生可能エネルギー事業など環境保護事業などを行うケースも増えてきたように思えます。

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本日は遺言による財団法人設立について解説しました。
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