コラム

相続における同居親族による使い込みに対する問題対策、生前と相続開始後の使い込みはどのような違いがあるのか。信託の活用など…

民事信託(家族信託)



同居親族による使い込みに対する問題対策


親族相盗例

親族相盗例とは、刑法に定められた特例であり、親族間で発生した犯罪行為又は未遂罪は、その刑を免除され、又は親告罪とされ告訴が無ければ控訴されないとされている(刑法244条1項・刑法224条2項・刑法251条)。親族とは、配偶者、直径血族又は同居の親族を示す。このような規定があるため、同居人親族による使い込みが発覚しても、刑法で裁く事は難しい。では、相続が開始される前後、いわゆる被相続人の生前と死後に分けて、どのような対策方法があるかを検討していきたい。

被相続人の生前の不当行為

まず、被相続人の生前に、不当行為が行われた場合はどのように扱われるのであろうか。
例えば、同居人である親族が、勝手に被相続人の預金通帳から現金を引き出し、財産を使い込んでしまったとする。
この場合、他人であれば、窃盗罪として扱われ、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処される(刑法235条)。しかし、同居人である親族が親の預金通帳を預かっていた場合や、親族がいつでも手にすることのできる場所に保管していた場合、自分の思うままに預金を引き出せる状態にあるので、刑法で罰することは難しくなってしまう。
また、このような場合、親が認知症を患っている場合が多く、判断力が不十分であり、親族側が「もらった」と主張すれば、事実を証明する事は相当に難しくなる。このような事態となれば、まずは家族間で話し合い、解決が難しければ弁護士を通しての話し合い、更には、「不当利得返還請求」や「不法行為に基づく損害賠償請求」などの訴えを起こし、民事上で争うことになる(民法703条・709条)。そうならないための対処法としては、任意後見制度や成年後見制度の活用が期待できる。
これらの制度は、判断力が不十分となった者の保護を目的とし、認知症を患った後のみでなく、将来的に認知症を発症した場合に備えて財産の管理者を選任しておくことも可能となる。また、家族信託制度によって、判断力が十分なうちから、信頼のおける家族や親族に、財産を信託して管理・処分を任せることで、早期のうちに問題回避への対策をすることも可能となる。

被相続人の相続開始後の不当行為

被相続人の相続開始後の不当行為ではどのように扱われるのであろうか。
使用が不明な被相続人名義の預貯金は、「使途不明金」とされ、相続財産であるか否かを判断することとなる。
共同相続人がいる場合、原則として平等に相続されなければならない。ゆえに、一部の相続人が使い込んだ金額が判明すれば、特別受益として判断され、相続財産として持戻され、相続財産と持戻し金として組込まれた金額の合計を各共同相続人に分配することとなる。しかし、使い込んだ金額と、医療費や生活費などの必要費とを分別するのは安易ではない。また、特別受益の額が相続分を超えていたとしても、相続分は0にはなるがそれ以上に支払う義務は負わないとされている(民法903条2項)。このような状態となれば、「不当利得返還請求」や「不法行為に基づく損害賠償請求」などの訴えによることとなり、問題解決に多くの時間を費やすこととなる。同居親族の使い込みから相続財産を守る対処法としては、金融機関に対し、被相続人の死亡を直ちに通知し、口座を凍結させなければならない。この点に関しては、口座が一度凍結されてしまうと相続が終わるまで入出金ができなくなってしまうので注意が必要となる。

家族信託制度や成年後見制度の活用を

このように、生前と死後によってその問題解決方法は変わってくるが、生前に対処しておおくことによっては、死後に発生する可能性のある問題の多くは回避することができる。したがって、生前の判断力能力が衰える前に、財産保護を目的とした対策を十分に検討しておく必要がある。

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本日は同居親族による使い込みに対する問題対策について解説しました。
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