取締役ごとに異なる任期を定める方法とメリットやデメリット
取締役ごとに異なる任期を定める方法とメリットやデメリット
取締役の任期について
取締役の任期は会社法上は原則2年と定められています。
ただし、定款に定めることで最大10年に伸長することや最短で1年に短縮することが可能です。
取締役ごとに異なる任期を定めたい場合は、あらかじめ定款変更を行い、その旨を定める必要があります。
個別の対応は難しくなるため、よくあるケースとしては、既存の取締役は10年など長く設定したうえで、新たに選任される取締役については1年などに短縮することを定めるケースです。
取締役は株主総会で選任されますが、任期を個別の総会決議で決めることはできません。
あくまでも、定款変更として株主総会の特別決議が必要となり、定めた内容が対象となる取締役すべてに適用されることになります。
取締役ごとに異なる任期を定めることのメリット
取締役ごとに異なる任期を定めるメリットの一つに、取締役の経営手腕をお試ししたいというケースに活用することが挙げられます。
創業社長やその後継者などが取締役を務める場合は、手腕も信頼も厚いため、定款で10年と定めているような場合も多く存在しますが、新たに外部から取締役を入れる場合は、新たな取締役については1年や2年など短期間にするケースが多く見受けられます。
もう1つは、取締役の任期を合わせて、選任決議をまとめることができる点です。
任期があと1年で切れる複数の取締役がいる場合に、途中で新たな取締役を入れると、その取締役だけ選任時期がずれます。
そこで、新規の取締役について1年と規定することで、その後は1年ごとに選任を繰り返し調整するというパターンです。
取締役ごとに異なる任期を定めることのデメリット
任期を定めるには定款変更が必要となりますので、株主が多い法人などにおいては手間やコストがかかります。
また、任期が短くなることで、頻繁に取締役の選任決議をしなくてはならず、登記コストがかかるのもデメリットです。
逆に任期を長く設定した場合に、思うようにいかない点があっても、正当な事由なく中途解任をすると、解任された取締役から損害賠償請求を受けるおそれがあります。
長くなりすぎることで、監視の目が行き届かなくなり、資金の不正流用が起きる場合や会社の私物化などが起こるおそれもあるため、監査役の監査を強める必要があります。
手続きのご依頼・ご相談
本日は取締役ごとに異なる任期を定める方法とメリットやデメリットについて解説しました。
役員変更に関するご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。