代表取締役の地位のみを退任する場合の手続き
代表取締役の地位のみを退任することはできる?
代表取締役の地位のみの退任
小さな企業などでは代表取締役が1人で経営を担っていることもありますが、規模が大きくなるにつれ、複数の取締役が選任され、取締役会を開いて経営判断を行っています。
代表取締役は取締役の中でも、会社を代表する人物です。選任された取締役の中から、代表者として選ばれます。
では、代表取締役が業績の悪化の責任を取ることや自分が適任ではないと判断したなど、なんらかの事情で代表取締役の地位を退任しながら、取締役として残り続けることはできるのでしょうか。
結論は、可能です。
逆にいいますと代表取締役は必ず取締役の地位を前提としていますので、「取締役」を辞めたら、代表取締役としてだけ残ることはできません。
代表者としては適任ではなけれど、経営のうえで欠かせない人物だと周囲が判断したり、自分でもやり残していることがあったり、取締役として業績の改善を図りたいと考えるなら、取締役として残り続けることが可能です。
代表取締役の地位のみ退任する場合の手続き
代表取締役の地位のみ退任することはできますが、取締役会設置会社と取締役会非設置会社で手続きが異なるので注意が必要です。
取締役会設置会社の場合
取締役会設置会社においては、株主総会にて取締役を選任したうえで、取締役会が代表取締役を選ぶことになっています。
そのため、代表取締役の地位のみ退任しても、別の取締役の中から取締役会が代表取締役を選任すれば良いので、代表取締役が欠けるおそれがありません。
代表取締役は退任届を提出すれば、比較的簡単に代表取締役の地位のみの退任が可能です。
取締役会非設置会社の場合
取締役会非設置会社は2つのケースに分けられます。
代表取締役を取締役の互選で選定している場合、代表取締役は退任届を提出すれば、比較的簡単に代表取締役の地位のみの退任が可能です。
これに対して、定款や株主総会決議で代表取締役を選定している場合は、自分の意思のみで退任することができません。
定款で選定された場合は株主総会の特別決議による定款の変更が必要となり、株主総会の決議によって選定された場合は株主総会の承認が必要です。
「地位の分離」「地位の未分離」などと呼びます。
手続きのご依頼・ご相談
本日は代表取締役の地位のみを退任する場合の手続きについて解説しました。
機関設計によって、その手続きは異なりますので会社の状況をご確認の上、お手続きをいただければと存じます。
役員変更や商号登記に関するご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。