合併 / 組織再編

合併における新株予約権買取請求権を解説!どのような場合に発生するのか?条文解説



合併における新株予約権買取請求権を解説


新株予約権の買取請求権が発生する場合は1つ

吸収合併消滅会社の新株予約権については、以下の場合に限って新株予約権買取請求権が発生します。

新株予約権の内容として組織再編行為に際して新株予約権が承継される旨及びその条件が定められている場合に、この条件に合致する新株予約権の承継がされない場合

上記の場合に限って、新株予約権買取請求権が発生いたします。なお、存続会社の新株予約権については、新株予約権買取請求権が発生する余地はありません。

新株予約権の承継とは

吸収合併においては、消滅会社の新株予約権は当然に消滅します(会社法750条4項、754条4項)。
この時、存続会社の新株予約権を交付することによって「新株予約権の承継」は実現されます。
なお、承継される新株予約権が新株予約権付社債に付されたものであった場合は、当該社債に係る債務ももとに承継されることになります。

新株予約権買取請求権の条文を解説

新株予約権買取請求権を定めた会社法第787条をより詳しく解説します。
会社法第787条は、以下のとおり定めます。

第787条 新株予約権買取請求
次の各号に掲げる行為をする場合には、当該各号に定める消滅株式会社等の新株予約権の新株予約権者は、消滅株式会社等に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
一 吸収合併 第749条第1項第4号(※1)又は第5号(※2)に掲げる事項についての定めが第236条第1項第8号(※3)の条件(同号イに関するものに限る。)に合致する新株予約権以外の新株予約権
(略)

(※1)第749条第1項第4号は、吸収合併消滅会社の新株予約権者に対して吸収合併存続会社の新株予約権を交付する場合を規定
(※2)第749条第1項第5号は、吸収合併存続会社の新株予約権等の割当てに関する事項を規定
(※3)第236条1項第8号の条件は、合併等に際して交付する新株予約権等を規定

よって、上記、第787条1項が定める消滅会社の新株予約権買取請求権が発生する場合とは、新株予約権者の内容として発行時に定めた「組織再編行為の際の新株予約権の取扱い」の規定通りの取り扱いをうけなかった新株予約権者についてのみ認められることとなります。簡単にいいますと、約束違反の場合のみ認められると理解して良いでしょう。

新株予約権買取請求権が発生する場合の手続き

吸収合併に反対の意思をもつ吸収合併消滅会社の新株予約権者のうち上述のとおり、一定条件を満たすものは会社に対して自己の有する新株予約権を公正価格で買い取るよう請求することが可能です。

株式買取請求権に準ずる

この新株予約権買取請求権が発生した場合、手続きは、原則として株式買取請求権に準ずる形で行われます。

新株予約権者へ通知・公告

吸収合併消滅会社は効力発生日の20日前までに全ての新株予約権者に対して、吸収合併をする旨と吸収合併存続会社の商号及び住所を通知します(会社法787条3項1号)。
この通知は、公告をもって代えることが可能です(会社法787条4項)。基本的に公告で代えることになるでしょう。

新株予約権買取請求の請求権者

新株予約権買取請求を行うことができるのは、上述のとおり、吸収合併存続会社が交付する新株予約権の内容が、もともとの新株予約権の発行に際して定めた「組織再編行為の際の新株予約権の取扱い」の定め(会社法236条1項8号)に合致しない場合に限って可能です。

新株予約権付社債の場合の注意点

新株予約権付社債は、新株予約権と社債を分離して譲渡することは出来ず、新株予約権と社債は一体的な取り扱いをうけます。そのため、当該新株予約権に別段の定めがない限りは、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを買取請求することは出来ず、新株予約権付社債の買取請求をしなければなりません(会社法787条2項)

手続きのご依頼・ご相談

本日は合併における新株予約権買取請求権を解説を解説しました。
吸収合併に関するご相談などについては永田町司法書士事務所までお問い合わせください。



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