株式交付 / 組織再編

株式交付制度とその使い勝手を解説!株式交換との違い



株式交付制度とその使い勝手


株式交付制度とは?株式交換との違い

2021年3月1日改正会社法において組織再編の一種として「株式交付」が規定されました。
この制度は、「株式会社が他の株式会社を子会社とするために当該他の株式会社の株式を譲り受けて、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付すること」と定義されています。
株式交付と似た制度として従来から「株式交換」がありますが、株式交換の場合は100%取得し「完全子会社化」しなければなりませんでしたが株式交付制度においては、100%を取得する必要はなく「子会社化」すれば良いので51%(一部)の取得で良いとしています。よって、株式交付制度は、半株式交換と考えると分かりやすいと考えます。

株式交付の使い勝手について

株式交付は、企業買収における株式譲受けにおいて、株式で支払う手法です。株式交付する側としては、現金で支払うよりも株式で支払う方が好都合です。しかし、子会社となる会社側からみれば未上場会社の子会社になることは、デメリットしかありません。これまで通り会社を支配することは出来ないですし、支配権のない株式は処分したくでも市場がなくこれでは株式交付に応じることはないと考えます。
しかし株式交付する側が上場会社であれば支配権を失った場合であっても売却市場があるため値上がり益などを期待することもできますので、株式交付制度は親会社となる会社が上場会社か若しくは将来上場する予定で共に上場を目指すべく傘下に入るよう場合に有効といえます。

株式交付子会社が新株予約権を発行している場合

株式交付子会社が新株予約権の発行をしていた場合、株式交付後に新株予約権が行使されて親子会社関係が崩れてしまうことのないように実務上は、株式交付親会社と協議をした上で、新株予約権を行使するか放棄していただくかの対応をとって新株予約権が存在しないようにする必要があります。

株式交付手続きの流れと決定事項について

親会社と子会社の協議事項

株式交付親会社は子会社と協議を行います。協議内容としては、子会社株主のうちの誰の株式を何株まで親会社は譲り受けるのか、両社の評価額はどうするのか、効力発生日はいつにするのかなどの基本事項について協議をします。この段階において、過半数譲り受けることが確実であれば次のステップとして株式交付親会社は株式交付計画書の作成へ進みましょう。

株式交付計画書の作成

株式交付は組織再編という重要な事項のため取締役会において承認を得る必要があります。
一定の要件においては株主総会の承認を要しない(簡易株式交付)ため、この場合は取締役会において承認を経ます。

事前開示と債権者保護手続き

株式交付親会社は株主の閲覧に供するため、株式交付計画備置開始日から効力発生後6か月を経過する日までの間に事前開示書面を本店に備え置く必要があります(会社法816条の2)。
また、債権者保護手続きが必要となる場合においては、債権者に対しても対応が必要となります。

株式交付の効力発生日について

株式交付の効力発生日を定めた場合であっても実際に株式の給付を行う必要があります(完全な権利者にする必要がある)ので対抗要件の具備として株式譲渡承認や名義書換を完了させる必要があります。
よってすべての手続きを終えた上で効力発生日が到来すれば当該日より子会社化が達成されることになります。

株式交付の登記手続きについて

株式交付において新株式を対価とした場合は、発行済株式の変更の登記をする必要があります。また、株式交付に伴い資本金の増加があった場合も同様となります。
自己株式のみを交付して資本金が増えた場合は、資本金のみの変更登記をします。

登記申請書記載例
登記の事由:株式交付による変更
登記すべき事項:「発行済株式の総数」●●株
        「年月日変更」
登録免許税:3万円
添付書面:株式交付計画書、総数譲渡契約書、取締役会議事録(株主総会の場合は当該議事録に加えて株主リスト)


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株式交付について解説しました。
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