株式交付 / 株式交換 / 組織再編

新たに制定された株式交付と株式交換の違いとメリット

新たに制定された株式交付と株式交換の違いとメリット


株式交付とは

株式交付は、2021年3月1日に施行された改正会社法において、新たに導入された制度です。
他の株式会社を子会社とするために利用できる制度です。子会社とは、自己の計算において所有する議決権割合が50%超となる場合を言います。
そのため、株式交付の制度では、自己の計算において所有する議決権割合が50%以下のほかの会社に対して行うことができます。
逆に言うと、株式交付を行っても議決権割合が50%超とならない場合やすでに議決権割合が50%超になっている子会社に対して追加取得を行うために株式交付は利用できません。

株式交換との違い

株式交換は他社の発行済株式のすべてを取得し、100%子会社化、完全子会社化するための制度です。
議決権をすべて取得できるため、株式を100%取得する会社が親会社となり、子会社の経営権を握ることが可能です。

これに対して株式交付の場合、子会社化されても、50%を超えない範囲の議決権の割合で子会社の株主も引き続き残ることになります。

株式交付のメリット

従来の株式交換の場合、完全子会社化され、子会社となった会社の株主は、子会社株式をすべて失い代わりに親会社の株主となりますので、子会社の株主総会決議には参加することができなくなります。
そのため、完全子会社化されるという話が出ますと、反発する株主が出た場合や敵対対策が行われるケースもありました。また、乗っ取り的なイメージもあり、必ずしも世間に与える印象がよくない場合もあります。

株式交付は100%取得する必要がないため、より柔軟かつスムーズに子会社化することが可能です。
子会社化が容易にしやすいというメリットのほか、子会社化する会社にとっても、子会社化される会社にとってもメリットが生まれます。
子会社化することで経営の効率化やサービスの向上による売上増などが起こり、両社の企業価値向上につながることで、両者の株主の利益に資することが期待できます。
これまで取引先等として密に取引やサービスの提供を行ってきた会社同士で、一方が子会社として取り込むことで、グループとして原価率改善や業績向上などを目指すことも可能です。
完全子会社というと、子会社化された企業の独立性がなくなるマイナスイメージがありますが、議決権の一部が残り、株主も残されることで、両社が一体となって企業価値向上を目指せるのがメリットです。

まとめ

本日は株式交付について株式交換との違いに触れながら解説いたしました。
子会社の定義は、議決権割合が50%超となることを指しますが、株式交換の場合は、100%取得して完全子会社化する必要があるところ、株式交付の場合は50%超でよく、100%取得しなくても良いのが特徴でした。

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