株主総会 / 法人手続

株式譲渡で忘れがちな利益相反承認決議とは?どのような場合に必要となるか

株式譲渡で忘れがちな利益相反承認決議とは?どのような場合に必要となるか


株式譲渡とは

株式会社は、株式を他人に譲渡することで資本を回収することができます。
ただし、株式譲渡をするには、その株式に譲渡制限が付いているか確認が必要です。
上場会社は別ですが、株式には譲渡制限を設定するのが一般的で、内容は会社承認を得ることとしているケースが大半です。
つまり、譲渡してはいけないという制限ではなく、譲渡するなら会社から承認を取るという条件が明示されているということになります。
この株式を譲渡制限付株式と言います。

利益相反承認決議とは

利益相反(りえきそうはん)とは、ある取引で一方は利益を得て、一方は不利益を生じることです。
たとえば、A社の株式を所有しているBさんが、Bさんが代表取締役を務めるC社に譲渡するような時に、利益相反承認決議が必要となります。
取締役はこうした時株主総会で取引について重要な事実を開示して、承認を受けなければなりません。
利益相反は、1人が2つの役割を持つ場合に起こりやすいのが特徴です。
この場合、Bさんが自分の地位を利用して自分の利益を優先し、会社に不利益を与えるようなことがないよう、株主総会でチェックすることになります。

譲渡人や譲受人の議決権について

株式譲渡では譲渡人と譲受人が当事者となります。
利益相反承認決議においては当事者が議決権を持つことが多いですが、この権利を行使できるかは決議機関によって変わります。
取締役会が設置されている場合は、取締役会の決議に当事者は参加できません。
取締役会が非設置の場合は株主総会で承認決議を行いますが、この場合は当事者が議決権を行使することができます。

ただ、この行使で不当な決議がなされたとみなされれば、決議しても取消事由となる可能性があります。
株主総会決議日から3ヶ月以内に、訴えを起こすことで決議を取り消すことが可能です。
会社法に定めがありますので、著しく不当な決議は許されない枠組みがあることは覚えておきましょう。

不利益が出ても承認されることはある

このように、株式譲渡で会社と取締役に利害衝突がある場合もありますが、会社法は利益相反取引自体を禁じているわけではありません。
なんらかの事情で利益相反取引が行われるとしても、実質的には不利益は生じないと判断される場合や不利益は生じても承知するケースはあります。
不利益を被る会社側がOKさえすれば取引は成立するため、その証拠として利益相反承認決議が必要となるのです。
実は株式譲渡をする際に利益相反承認決議は忘れられがちなため、後々困らないためにも株式譲渡する際にはあらかじめ該当事由がどうか確認しておきましょう。

まとめ

本日は株式譲渡における利益相反手続きについて解説しました。
会社・法人登記に関するご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。


会社法人登記(商業登記)の

ご相談・ご依頼はこちら
お問い合わせ LINE

ご相談・お問い合わせはこちらから