増資 / 登記申請手続(各種)

【増資】払込期日と期間どちらを定めるべきか。期日到来前の払込みの可否【募集株式の発行】



【増資】出資者が株主となるタイミング、払込期日と期間について。期日到来前の払込みの可否【募集株式の発行】


払込期日と払込期間について

株式会社が新たに株式を発行した場合、又は自己株式の処分として株式引受人を募集する場合には、次に掲げる事項を定める必要があります(会社法第199条)。

一 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)
二 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法
三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額
四 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間
五 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項



払込「期日」または「期間」を定めるように規定があります。払込期日を定めた場合と払込期間を定めた場合ではどう違うのでしょうか。

払込「期日」を定めた場合

払込期日を定めた場合はその期日に株主となります(会社法第209条)。

期日前に払い込んだ場合

払込期日の当日に払い込まなければならないわけではありません。払込期日前に払い込んだ場合であっても払込みは有効となります。ただし、株主となるのは払込期日の日となります。

払込「期間」を定めた場合

払込期間を定めた場合はその期間中で払込みがあった日に株主となりま(会社法第209条)。
例えば、募集株式の発行において、引受人が3名いる場合において、払込期間が、1月1日~1月31日までだった場合、Aが1/3、Bが1/10、Cが1/20に払込みをした場合それぞれ払込の履行があった日に株主になります。

払込期間開始前に払い込んだ場合

上述のとおり払込「期日」前に払い込んだ場合であっても当該払込は有効であることは、実務上認められていますが、払込期間開始前に払い込むのが問題ないのかについては明確ではありません。

株主総会決議前の払込み

募集株式発行の承認決議より前に払い込むのは、その払い込まれた資金の用途が不明確になるため避けたほうが良いでしょう。
どうしても払込みが先行となってしまう場合は、総数引受契約書だけは、払込みより前に締結しましょう。
その場合総数引受契約書には「令和●年●月●日開催の臨時株主総会において下記募集株式発行決議が承認されることを条件として、当社分(株式●●株)を引受け、あらかじめ振込みます」などの文言を加えて条件付の契約書にしておくと良いでしょう。
株主総会承認前かつ総数引受契約書締結前に払込をした場合、なんの資金であるか疑義が生じると考えます(金銭返還請求権の現物出資ともとらえることが出来るかと思います)。

払込期日と払込期間どちらがいいのか

払込期間を定めた方が圧倒的有利であるといえます。期間は融通が利き、また期間とすれば払い込まれるたびに会社はその資金を使用することが出来ます。
払込期日の場合は期日前に支払われたとしても、期日が到来するまで会社はその資金を会社資金として使用することはできません。

効力発生日

払込期日を定めた場合は、払込期日に株主となります。上述のとおり払込期日前に払い込まれた場合であっても払込期日の日に株主となります。
一方で払込期間の場合は、期間中に履行した場合、その履行した日が株主となる日です。ただし、期間中にバラバラに払い込まれてその度に都度登記を申請するのは現実的ではありませんので、期間の末日を効力発生日としてまとめて登記をすることが可能です(会社法第915条)。

払込み期間や期日を超えた場合

払込期間や期日を過ぎた場合は株主となる権利を失います(失権)ので、この場合は改めて手続きを行う必要があります。

まとめ

本日は募集株式発行において払込期日と払込期間を定めた場合の効力などについて解説いたしました。
募集株式発行(増資)に関するご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。



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