【動産譲渡担保】種別、登記、管理、保管、回収、解除について解説します
【動産譲渡担保】種別、登記、管理、回収、解除について解説します
動産譲渡担保とは
動産譲渡担保とは、担保となる目的物の所有権を債務者または物上保証人から、債権者に移転させて、債務の弁済があった場合にはそのものの権利は、債務者又は物上保証人に復帰するが、一方で債務の弁済がされない場合には、当該目的物の権利が確定的に債権者に移転して、それによって債権回収がおこなわれるという形式をとる担保を指します。
動産譲渡担保の種別
動産譲渡担保には、個別動産と集合動産を担保の目的物とする方法があります。
個別動産
抵当権などの登記手段がない動産である、工場内の機械や病院内の機械などについて、その目的物を特定して、譲渡担保の目的とすることが従来より行われています。
この個別動産については、製造番号や形状、特質など識別可能な特定をする必要があり、このような譲渡担保の対象となる動産を個別動産(特定動産)といいます。
集合動産
個別動産の対比として集合動産という概念があります。集合動産は「倉庫内にあるコーラすべて」というように性質上商品の仕入れを行い販売をするという行為が反復継続して行われてそれに伴って個別動産が絶えず入れ替わる動産の集合体を集合動産といいます。判例は、この集合動産についても譲渡担保の対象となることを認めています(最三小判昭62・11・10民集41巻8号1559頁・金融法務事情1186号5頁)。
管理方法について
動産譲渡登記
対抗要件具備を目的として動産譲渡登記を行うことができます。
ただし、動産譲渡登記の存続期間は原則10年が最長となります(特例法7条3項)。この存続期間については延長の登記をすることが出来るますが、延長登記後の存続期間についても原則10年を最長としますので、担保管理としての登記の期日管理が必要となります。
動産の保管場所
不動産と異なり動産の場合は、そのもの自体を物理的に移動させることが出来るものであることがほとんどです。担保権実行の際にその保管場所へ行ったらその目的物が無かった…ということも想定されるため、目的物がきちんと存在するのか、状態はどうなのかなど確認調査するために保管場所に定期的に立ち入り確認する必要があります。
よって、融資実行条件に誓約事項として、立ち入り検査が可能な旨を盛り込み債権者がいつでも立ち入れるようにしておく必要があります。もしも、一部破損などしているのが発見された場合には、担保価値が減ずることになるため、債権者は債務者に対して追加の担保差し入れや修繕などをするよう求めましょう。
報告
動産譲渡担保の場合は、債権者が保管場所へ立ち入るだけではなく、債務者より定期的に目的物の状況を報告していただく必要があります。
譲渡担保権設定契約等に報告義務をいれているケースは少なくありません。特に集合動産の場合は、入れ替わりが激しくなるため、債権者は定期的な報告を受ける必要があります。
譲渡担保権の実行
譲渡担保権の実行とは、担保として取得した目的物の所有権を確定的に債権者が取得して、目的物の処分を行い、被担保債権に充当することを指します。
債務者が債務の弁済をすることができなくなったとき、譲渡担保契約に定められた期限の利益が喪失したときに譲渡担保権が実行される旨の規定が設けられているのが一般的です。
実行
実行方法としては、まずその目的物を直接債権者が占有する必要があります。そのため、物理的に移転させるために、内容証明郵便で、担保権実行通知を出し、債務者又は物上保証人に対して、直ちに目的物を引き渡すよう求めることになります。
万が一債務者又は物上保証人がその目的物を処分又は隠蔽する恐れがある場合には、占有移転禁止仮処分を検討する必要もあります。
回収
目的物(担保対象動産)の確保後は、次のいずれかの方法によって清算をします。
帰属型清算
担保対象である目的物を債権者に帰属させてその適正価格を被担保債権の弁済に充当する方法。このとき、残余額が生じた場合は当然担保提供者に清算金として返還をします。
処分型清算
担保対象である目的物を適正価格にて第三者へ売却して売却代金を被担保債権の弁済に充当する。上記同様に残余額が生じた場合は当然担保提供者に清算金として返還をします。
動産譲渡担保の解除
被担保債権が弁済などによって消滅した場合は、動産譲渡担保契約の解除を行います。このとき、双方で解除の合意書を作成するのが一般的となります。また動産譲渡登記がされている場合、抹消の登記手続きを行います。
まとめ
本日は動産譲渡担保に関する実務上の取り扱いについて解説しました。
動産譲渡登記に関するご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。