事業譲渡の際に気を付けたい株主総会決議について【決議の有無】
事業譲渡の際に気を付けたい株主総会決議について
事業譲渡と株主総会決議
事業譲渡と株主総会決議
株主総会決議の方式には、主に普通決議と特別決議があります。
普通決議は議決権の過半数の出席のもと、出席した株主の議決権の過半数があると採決される方式です。
これに対して、特別決議は議決権の過半数の出席のもと、出席株主の議決権の2/3以上の賛成がないと議決できません。
会社経営や株主の利益により重要な内容の決議は、特別決議となるのが基本です。
では、事業譲渡の場合はどうでしょうか。
企業の事業を売却する行為なので、株主の利益や会社経営に大きな影響が考えられることから特別決議が求められるように思えます。
この点、事業譲渡の決議は譲渡する企業か、譲り受ける企業か、またその内容の重要性によって異なっています。
譲渡する企業では、原則として株主総会の特別決議が必要です。
これに対して、譲り受ける企業は、例外的に特別決議が必要な場合があります。
譲り受ける側は一般的には譲り受けはメリットにあたるためです。
具体的にどのような場合に特別決議が必要なのか見ていきましょう。
譲渡企業で特別決議が必要な場合
譲渡会社の場合において、株主総会の特別決議が必要となる代表的なケースは以下の通りです。
・事業の重要な一部の譲渡
・事業の全部の賃貸や経営の委任、他人と事業上の損益の全部を共通にする契約など
事業の重要な一部の譲渡は定款に特別な定めがなければ、総資産額の1/5以上の割合になるケースですが、会社の全財産に対して事業譲渡で譲渡する資産の占める割合や事業譲渡による会社への影響などを総合的に考慮して判断することが求められます。
譲受企業で特別決議が必要な場合
譲受企業で株主総会の特別決議が必要となる代表的なケースは以下の通りです。
・事後設立で会社の成立前から存在する財産について、会社の営業のために継続して使用してきた財産を会社成立後2年以内に取得する場合
譲渡企業で特別決議が不要な場合
譲渡企業で特別決議が不要なケースは、以下の通りです。
・譲渡企業の総資産1/5超の資産を譲渡する場合であっても、総合的な判断から事業の重要な一部の譲渡に該当しない場合
・事業譲渡の契約の相手方が譲渡企業の特別支配会社である場合
譲受企業で特別決議が不要な場合
譲受企業で特別決議が不要なケースは、以下の通りです。
このケースは、簡易事業譲受と呼ばれています。
まとめ
本日は事業譲渡における株主総会の決議について簡単に解説しました。
事業譲渡や組織再編に関するご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。