事業譲渡 / 組織再編

事業譲渡契約のポイントや注意点【従業員の転籍、譲渡範囲や免責の登記について解説】



事業譲渡の契約時に注意したいこと


事業譲渡契約書で気を付けたいこと

事業譲渡の契約を締結するにあたり、契約書を作成するにあたっては、後々トラブルに発展しないよう、細かく条件や取り決めをしておくことが必要です。
事業譲渡はあらゆるものを一体的に承継する合併と異なり、事業の一部や全部を譲渡するものです。
売却する事業の中でも従業員や商品、工場や設備、取引先などの権利や債務などの承継についてを個別に定めることができます。

そのため、何をどの範囲で承継するのか明確に定めておく必要があります。
特にトラブルになりやすい項目について確認していきましょう。

譲渡の範囲

事業譲渡契約書を作成し、合意のサインや押印をする前に、譲渡範囲について今一度よく見直してください。
譲渡するかしないのか不明確な資産や負債はないでしょうか。
契約書にはすべてを記載しきれないことも多いため、承継する資産・債権・債務を特定する目録を作成しておくことが大切です。

たとえば、不動産を承継する場合は事業用地ではなく、住所地まで当然特定しましょう。
譲渡契約の当事者だけでなく、まったく無関係の第三者が見ても、どの財産のことかわかるくらいの具体性や明確性を持たせておくと安心です。

また、事業を継続するにあたって必要な取引先との契約は、当然には引き継がれません。
引き継ぎたい場合は取引先の同意が必要になりますので注意しましょう。

従業員の転籍について

事業譲渡をしても、その事業に携わってきた従業員は当然には譲り渡す対象にはなりません。
従業員との雇用契約は、従業員の個別の同意がない限り承継できないので注意が必要です。
相手企業と事業の継続に必要との共通認識に至ったのであれば、従業員一人ひとりから同意を得たうえで、譲受企業へ転籍させることになります。
もっとも、同意しない従業員は転籍させることはできません。

また、全従業員を転籍させない、合意しない従業員は譲受企業で引き続き雇用するということも考えられます。
この場合、別の事業部に異動させるなど、今後携わる業務についても検討が必要です。
一般的には、事業継続に不可欠として転籍させるケースが多いですが、その場合、従業員が不利益を被らないよう、転籍後の処遇についても、譲受企業と契約前にしっかりと話し合い、納得できる内容の取り決めをしておきましょう。

免責登記の必要性について

譲受企業が商号や屋号も承継する場合、事業譲渡前に発生した未払い債務を支払わなくてはなりません。
ですが、商号続用時に免責登記を行うことで、譲受企業は事業譲渡前に発生した債務の弁済責任を免れることができます。
事業譲渡前に発生した取引先への弁済をいずれが行うかも含め、免責登記事項が相手から提示されてた契約書に入っていた場合は留意しなくてはなりません。

まとめ

本日は、事業譲渡における契約時に注意するべきことについてまとめました。
事業譲渡や組織再編・商業登記に関するお問い合わせは永田町司法書士事務所までお問い合わせください。


本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

債務整理・商業登記全般・組織再編・ファンド組成などの業務等を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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