契約書等作成、チェック / 相続、遺産承継業務

死因贈与契約と死期付所有権移転仮登記、仮登記の本登記や必要書類、申請人などを解説!死因贈与契約書作成の注意点とポイントを紹介



死因贈与契約と死期付所有権移転仮登記、仮登記の本登記や必要書類、申請人などを解説!死因贈与契約書作成の注意点とポイントを紹介


死因贈与とは?遺贈との違い

死因贈与とは、亡くなったことを原因として贈与することを指します。
遺言書で被相続人が死亡した場合に特定の人に財産を贈与する意思表示を一方的に行う遺贈と大きくことなるのは、死因贈与は「契約」となるところです。
死因贈与は、受贈者と贈与者が贈与契約を締結する必要があります。一方遺贈は、遺言者の一方的意思表示で良く財産を受け取る側の同意は必要ありません。

始期付所有権移転仮登記が出来るのは死因贈与

始期付所有権移転仮登記が出来るのは死因贈与のみとなります。遺贈では出来ません。
始期付所有権移転仮登記とは、条件付の仮登記であり、贈与者が生存中は不動産の所有権はその者にあるが、贈与者が死亡した場合(贈与者の死亡が始期となり)所有権は受贈者に移る登記のことを指します。
遺贈では出来ませんが死因贈与ではできるのが大きな特徴です。

死因贈与による仮登記(始期付所有権移転仮登記)の申請方法と必要書類

死因贈与による所有権移転の仮登記は、原則贈与者(義務者)と受贈者(権利者)が共同で登記申請をします。
ただし、贈与者より承諾がある場合、受贈者(権利者)から単独で申請することが可能です。
あくまで仮登記ですので、贈与所(義務者)の実印押印+印鑑証明書付の承諾書があれば、受贈者(権利者)が単独で申請することが出来ます。

また、死因贈与契約書が公正証書で作成されている場合で、かつ、所有権移転仮登記することを贈与者(義務者)が承諾している旨の記載があるときも上記同様に、受贈者(権利者)が単独で仮登記の申請をすることができます。公正証書で作成されている場合は、実印押印+印鑑証明書付の承諾書は不要となります。
公正証書作成の時点で贈与者(義務者)の意思が確認されているからです。

(登記申請書の記載例)
登記の目的 始期付所有権移転仮登記
原   因 令和●年●月●日贈与(始期▲▲の死亡)


登録免許税

登録免許税(印紙代)は、固定資産税評価額の2%の2分の1となります。
通常、贈与による所有権移転登記の登録免許税は固定資産税評価額の2%ですが、仮登記のため、その半分となります。
本登記を行う際、残りの2分の1の登録免許税を納めることになります。

仮登記必要書類

仮登記にあたり必要となる書類は次のとおり

① 登記原因証明情報(死因贈与契約書)
② 贈与者の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)

※仮登記段階では、登記識別情報通知(または登記済権利証)と受贈者の住民票は不要

死因贈与による仮登記の本登記の申請方法と必要書類

死因贈与契約の贈与者が死亡したことで死因贈与契約の効力が発生いたします。
手続方法は、死因贈与契約書を公正証書で作成したか否かによって異なります。

死因贈与契約書を公正証書で作成した場合

死因贈与契約書が公正証書で作成されている場合で「死因贈与執行者」の記載がある場合、この死因贈与執行者と本登記の申請を行います。
通常、死因贈与執行者は、受贈者といたしますので、この場合は死因贈与執行者と受贈者が同じとなり事実上単独で登記の申請ができます。
死因贈与執行者の定めがない場合は相続人と共同して登記申請しなければなりません。相続人と共同して申請するのは実務上、困難となるケースも多く見受けられます。
必要書類は次のとおりです。

①公正証書の正本または謄本
②死亡した贈与者の除籍謄本(贈与契約の贈与者が死亡したことを証明)
③死亡した贈与者の住民票の除票
④執行者の印鑑証明書・実印
⑤受贈者の住民票・印鑑(認印で可)
⑥贈与者が所有していた登記済権利証または登記識別情報通知
→権利証がない場合であっても、 死因贈与執行者と受贈者が同じであれば、手続は比較的簡単となる。
⑦対象不動産の固定資産税の評価証明書(最新年度のもの)

登記原因証明情報は、公正証書の正本又は謄本となります。
また、当該書面が遺言執行者の権限を証する書面ともなります。

死因贈与契約書を私署証書で作成した場合(公正証書以外)

死因贈与契約書が私署証書で作成されている場合、当該契約書に「死因贈与執行者」の記載がある場合は上記同様この死因贈与執行者と(通常は受贈者とするので事実上単独で)本登記の申請を行います。
死因贈与執行者の定めがない場合は相続人と共同して登記申請しなければなりません。

必要書類は次のとおりです。

①死因贈与契約書(私署証書)
②死因贈与執行者の定めがある場合、死亡した贈与者の印鑑証明書(私署証書が真正に作成されたことを証明するため)
③贈与者の相続人特定のため出生から死亡時までの除籍謄本
④贈与者の法定相続人全員の戸籍謄本
⑤贈与者の相続人全員の印鑑証明書+実印
⑥贈与者の住民票(除票)
⑦死因贈与執行者の印鑑証明書+実印
→死因贈与執行者の定めがない場合は法定相続人全員の印鑑証明書+実印
⑧受贈者の住民票
⑨元贈与者が所有していた登記済権利証または登記識別情報通知
権利証がなく、かつ、受贈者が死因贈与執行者ではない場合は手続きがかなり難しくなります。
固定資産税の評価証明書(登録免許税の根拠を示すために必要です。)
⑩対象不動産の固定資産税の評価証明書(最新年度のもの)


死因贈与する場合に最低限気を付ける2つのポイント

上述のとおり、死因贈与契約を行ったあと、実際の贈与者が死亡して本手続をする場合、状況によっては困難を極めるケースもあります。このようなことがないよう、死因贈与契約書の作成段階から、ゴールを見据えて必ず次の3点に気を付けて作成を行いましょう。

必ず公正証書で作成すること

公正証書で作成を行い、かつ、登記承諾の旨の記載をしましょう。

必ず死因贈与執行者を定めること

必ず死因贈与執行者を定めましょう。
死因贈与執行者の定めがないと、贈与者の死後、その贈与者の相続人全員の協力をもらい自分に移転してもらう必要があります。
相続人がそれを良しとしない場合は、事実上困難となります。
話合いを重ねてまとまらなければ裁判で…ということになるので、記載の有無によって期間とコストが圧倒的に異なります。

まとめ

本日は死因贈与について解説しました。
仮登記をすればそれで安心というわけでは決してありません。
必ずゴールを見据えて、死因贈与契約書を作成しましょう。
死因贈与契約書を公正証書で作成できなかった場合であっても死因贈与執行者の定めだけは絶対に入れましょう。

死因贈与契約書の作成、仮登記、仮登記の本登記に関するお問い合わせは永田町司法書士事務所までご相談ください。

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