債務承認弁済契約(強制執行認諾文言付公正証書作成)解説
債務承認弁済契約(執行認諾文言付公正証書作成)解説
債務承認弁済契約とは
債務承認弁済契約とは、金銭消費貸借契約などをすでに締結して、金銭の弁済義務のある債務者とその債権者の間で、債務をどのように履行するか、もし履行できなかった場合はどうするかを取り決めるための契約です。
もう少しわかりやすくいうと、どのようにしてお金を返していくか、もしその通りに返済できなかったらどうするかを、より詳しく定める契約となります。
一般的には、お金の貸し借りを行う金銭消費貸借契約で利息や返済の方法、返済日などを定めているので、わざわざこうした契約をしなくても、債務者は返済義務を履行しなくてはなりません。
にもかかわらず、債務承認弁済契約を締結するのは、債務者がしっかりと履行することを債権者に約束することで、互いの信頼関係をより強固にする目的があります。
債務承認弁済契約は、金銭消費貸借契約をはじめ、売掛金の支払いや不法行為や債務不履行に基づく損害賠償金の弁済契約を締結した当事者同士でも締結されることも少なくありません。
債務承認弁済契約でどのようなことを取り決めるのか
金銭を借りた後、返済が厳しくなった時や取引先の売掛金の支払いが滞って未収金が発生した時、委託や請負によって損害が発生し、損害金の支払い義務が生じた時、会社の役員や従業員が会社のお金を使い込んで不法行為などによる賠償金を請求する際など、支払方法や今後の対応などを当事者間で取り決め、契約書を取り交わします。
契約書に記載する主な内容としては、
②債務の内容
③返済方法と返済期日
④利息の定め
⑤遅延損害金の定め
⑥期限の利益喪失事由
⑦連帯保証人
などです。金額や利息、返済方法などについては、貸し借りをする際や賠償金の支払い契約でも取り決めています。
そのため、支払いが滞った場合の遅延損害金の利率やその支払い方、万が一支払いができなかった時は強制執行を受けてもやむを得ないことなどについて、しっかり取り決めをし、債務者の合意を取り付けておくことがポイントです。
遅延損害金については、金銭消費貸借契約書の必須記載事項ではありませんが、返済を遅延した場合には、法律上、当然に法定利息年3%遅延損害金が発生します。金銭消費貸借契約書で遅延損害金の払い方などについて詳しく取り決めていなかった場合に、返済が厳しくなりそうな時など、債務承認弁済契約でしっかりと取り決めておくことで、債権者としては取り逃しを防ぐことが可能です。
強制執行認諾文言付公正証書の作成がお勧め
債務弁済契約書は、強制執行認諾文言付の公正証書で契約書を締結することをお勧めします。
万が一、債務者が弁済できず債務不履行となった場合、債権者は最終的に強制執行手続によって貸付金を回収します。
この強制執行を行うためには、まず貸金返還請求訴訟を提訴して勝訴判決(債務名義)を得る必要があります。
この「勝訴判決(債務名義)」を得るまで時間と費用を要するのが非常にネックです。
裁判を経ずに強制執行ができる
強制執行認諾文言付の公正証書を作成することによって、裁判手続をスキップして強制執行手続へ進めることが出来ます。
具体的には、下記のような文言を公正証書に入れます。
乙は、本公正証書に定める金銭債務の履行を怠ったときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。
公正証書作成の1番のメリットはこのような特殊な効力を得ることができる点にあります。
さいごに
本日は債務承認弁済契約(強制執行認諾文言付公正証書作成)について解説させていただきました。
当事務所では債務承認弁済契約(強制執行認諾文言付公正証書作成)を行っています。
作成をご検討中の方は、永田町司法書士事務所までお問い合わせください。