不動産特定共同事業者とは。瑕疵物件にも投資ができる?
不動産特定共同事業者となれば瑕疵物件も投資可能?
不動産特定共同事業者として許可を得れば自身で資金を集め、現物不動産に投資することも可能でありますし、特例事業者を設立し、投資家を募集する仲介を行うことも可能となります。
不動産特定共同事業法は使いやすい
新しく高層マンション、オフィスビル、ショッピングモールなどの開発をするには莫大な資金が必要となります。自己資金だけでは到底難しく、第三者から資金調達を行わなければ開発ができません。そこで金融機関と借入交渉を行いますが、開発型不動産の場合、建物完成までには数年かかり、先行きを見通すことは困難であります。そのため金融機関も担保価値を低く見積もる傾向にあります。
そこで、銀行だけでなく投資家からも資金調達をすることを考えます。
特定目的会社や投資法人では不十分
上述の事案ですと特定目的会社や投資法人では適合しません。特定目的会社(リンク)を使うと開発中に確定事項などに変更があると資産流動化計画をそのたびに変更する必要があり機動的ではなく、投資法人(リンク)を使う場合は継続して保有することを大前提とし開発後売却するような開発型不動産には適合しません。
(関連リンク:投資法人とは何か。使い方とその最終目標を解説)
(関連リンク:特定目的会社(TMK)とは(前編)~)
煩雑な手続は必要なく組成可能
不動産特定共同事業者の認可を得ていれば開発型不動産の投資組合を組成する際、特定目的会社とは異なり煩雑な手続等はなく、また投資法人とは異なり、売却前提の物件でも問題がないのです。さらに古い建物で新耐震基準に適合しないビルなどは、信託することも投資法人の投資対象とすることも出来ません。ところが、不動産特定共同事業者になればこれらの条件や煩わしい手続もなく投資組合の組成が可能です。ただし、投資家を募集する必要はあります。
瑕疵のある物件を対象とした投資組合も組成可能
上述のとおり、他の法律では扱いが難しい物件(現時点で瑕疵がある不動産等)を目的とする投資組合も組成可能です。
不動産特定共同事業者としての許可要件
不動産特定共同事業者としての許可要件として下記を満たす必要があります。
②最低資本金は1億円
③純資産額が資本または出資額の90%以上
④事務所ごとに業務管理者として宅地建物取引士を置く
⑤投資家との契約条件の内容が法令の基準を満たしている。
⑥当期利益が黒字、金融支援を受けていない
不動産の投資組合を組成するならすべて不動産特定共同事業者をつかえばいいと思っている方もいるかもしれませんが、上記①~⑥の要件を満たす必要があるため、この要件をクリアできない場合は、他の法律に基づく投資組合を組成することになります。
管理者は特定事業者にする
管理者としては、不動産特定共同事業者が管理者とはならず、銀行や信託会社等の不動産投資に関する専門知識や経験を有する者(=特定事業者)が合同会社を設立し資金調達を行うスキームが一般的となります。ただしこの場合は、特例投資家のみしか募集は出来ません。
さいごに
いかがでしたでしょうか。本日は不動産特定共同事業者についてお話させていただきました。投資組合に関するご相談は、永田町司法書士事務所までお問い合わせください。