民法基礎知識

民法上の即時取得とは。即時取得ってなに

友達から貰った物が、友達の物ではなかった!こんな時どうする?民法上の即時取得とは

即時取得とは

民法には即時取得という制度が設けられています。
これは、買ったり貰ったりした「物(動産)」が、実際にはその相手の所有物ではなかった場合に適用される法律です。
法律上、「動産」とは、「不動産以外の物はすべて動産とする(民法86条2項)」とされています。

具体的な事例

例として上げますと、Aさんが所有している腕時計があったとします。
この腕時計は、Aさんの所有物となります。
しかし、その腕時計を、BさんがAさんから盗んだり、又はBさんがAさんからこの腕時計を借りていたのに第三者であるCさんに勝手に売ってしまったり、あげてしまったとします。

このような場合、保護されるべき人は、AさんとCさんだと考える人が多いのではないでしょうか?
Aさんは自分の所有物である腕時計を、Bさんが勝手にCさんに転売したり、あげてしまったわけですから、当然返して欲しいと考えるでしょう。
また、Cさんから見た場合はどうでしょうか?

Cさんが、元々その腕時計の持ち主がAさんであると知っているのであれば話が変わってきますが、全く知らなかったと考えると、CさんはBさんの物であると信じて、購入したり、または譲り受けているわけですから、Aさんから、「その腕時計は自分の物だから返してくれ」と言われたとしても、返したくはないですよね。

ここで、「即時取得(民法192条)」という法律が出てきます。
即時取得とは、上記のような問題が起こったときに、結果としてCさんの所有物になるのかどうかと言う事です。
上記の例で考えますと、Cさんが、Aさんの所有物であるということを、知らず、かつ、知らなかったことについて過失がなかったのかどうかが問われます。
過失と言うのは、注意義務に違反する状態や不注意を意味します。

Cさんが過失なく、Aさんの所有物であるということも全く知らなかった場合、結果的には即時取得の制度によって、Cさんの所有物となります。
自分の所有物を勝手に転売や、勝手に他人にあげられてしまったAさんからすると、可哀想に思われるかもしれませんが、Cさんが全く何も知らずにBの所有物であると信じて譲り受けている場合は、Cさんを保護しようというのが民法の考え方なのです。

その代わり、Aさんは泣き寝入りする必要はなく、勝手に自分の所有物を処分されてしまったわけですから、AさんはBさんに対して、不法行為に対する責任にもとづいて、損害賠償請求を行うことが可能となります。このように、過失などがあるのかないのかによって結果は異なってきますが、このような即時取得という制度が民法には設けられております。

さいごに

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本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

債務整理・商業登記全般・組織再編・ファンド組成などの業務等を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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