共同相続人が行方不明!この場合はどうする? -法務担当者向け基礎知識-
共同相続人が行方不明!この場合はどうする?
亡くなられた方(被相続人)の死亡と同時に相続が開始し、相続人となる人が複数名いる(共同相続人といいます。)場合は、共同相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。
そもそも、相続人となる人は、民法によって決まっており、この相続人を法定相続人といいます。
そこで、遺言書がない場合や、または遺言書があったとしても、不備があり法的効力がない遺言書の場合、法定相続人となる人を探し出し、協議をすることによって遺産分割を行うことになります。
相続人が見つからない場合
亡くなられた方(被相続人)が遺言書を残しており、それが法律的に問題がない遺言書であれば、その通りに相続をすることになります。
先に述べた通り、遺言書がない場合は、法定相続人とその相続分は決まっていますが具体的な分割方法については決まっていないため遺産分割協議を行い、具体的に相続財産を分けることになります。
この遺産分割協議は相続人全員で行うことが必要で、相続人がひとりでも欠けているとその遺産分割協議は無効となってしまいます。
それでは、法定相続人、もしくは、遺言書に記載されていた相続人が行方不明や生死不明で見つからない場合はどのように相続手続や遺産分割協議を行えばよいのでしょうか。
この場合、大きく分けて2つの方法があります。
不在者財産管理人を選任
まず、戸籍などを調べて、相続人の住所が判明すれば、手紙で通知したり、連絡を取ろうとすることが可能です。手紙を送ったりしても連絡が取れない場合、家庭裁判所に申請することにより、不在者財産管理人(民法25条)を選出することができます。
この不在者財産管理人というのは、行方不明となっている人の代わりに、財産を管理する人のことをいいます。この不在者財産管理人に選ばれる人は、行方不明の人と利害関係がない人や、弁護士などの専門家がなることが多いです。
選出された不在者財産管理人は、財産管理をすることが目的ですので、相続人の不在者財産管理人になっていたとしても基本的には遺産分割協議に参加することはできません。
しかし、裁判所に権限外行為の許可を申請することによって、不在者財産管理人も協議に参加することが可能となります。
不在者財産管理人が遺産分割協議に合意した場合は、行方不明の人の代わりに、署名捺印をすることになります。
失踪宣告
次に失踪宣告(民法30条)という方法があります。
災害などによって生死不明などの場合は1年、行方不明になってから7年の月日が経過すると、失踪宣告をするにより、法的に死亡したとみなすことができます。
失踪宣告は家庭裁判所に申請しますが、失踪宣告がされるまで1年以上の時間がかかる場合が多いのが実情です。
このように申請をしてから実際に失踪宣告がされるまで時間がかかり、相続税の申告期限である10か月を過ぎる場合が多くなるので、不在者財産管理人を選任する方が現実的だといえましょう。
さいごに
いかがでしたでしょうか。相続に関するご相談は、永田町司法書士事務所までお問い合わせください。
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