受託者の義務と監督「信託監督人とは?」
受託者の義務
民事信託によって財産の管理を任された受託者には、様々な義務が発生します。
いったいどのような義務があるのでしょうか。
また、受託者がその義務をきちんと守ってくれるかどうかが心配という方もいると思います。
受託者が義務をきちんと守っているかどうかを監督する手段はないのでしょうか。
この記事においてはそれらについて解説していきたいと思います。
善良な管理者の注意義務
受託者の義務としてまず挙げられるのが「善良な管理者の注意義務」です。
これは、受託者は、信託財産について、信託の目的に従って、その人の職業や地位から考えて、通常期待される程度の注意義務を負うということです。つまり、相当程度の高い注意義務が課されているのです。
他にも、信託財産と自己の財産を分けて管理しなければならないという義務もあります。たとえば信託財産が預金であれば、自己の口座とは別の預金口座をつくり管理する必要があるのです。
このように、受託者には様々な義務が課されます。
信託監督人について
通常民事信託において、受託者が義務を果たしているかを監視する役割にあるのは受益者といえます。受益者は、信託における財産の目録や収支計算書の閲覧をする権利があり、受託者はそれに応えなければなりません。このように、受益者による受託者の監督は、ある程度の実効性があります。
ただし、受益者が必ずしも通常の判断能力を備えているとは限りません。
受益者が未成年者や高齢者である場合には先ほど述べたような監督が有効になされるとは限らないのです。
このような場合に、受益者の代わりに、あるいは受益者とともに、受託者を監視する者を定めることができます。この監督する者を、信託監督人といいます。信託監督人によって、受託者が適切に義務を果たしているかを監視することができるのです。
この信託監督人が活用される事例としては、たとえば、知的障がいを持つ子どもがいて、自分の死後、特定の親族に金銭的な面倒を見てもらうよう民事信託契約を結んだような場合が挙げられます。当然、信頼のおける親族に受託者となってもらうことになるでしょうが、サポート役というような意味合いでも、信託監督人を付けることで万全の備えをしておくことができるのです。
さいごに
以上、受託者の義務ついて説明いたしました。
信託監督人には、家族以外の、たとえば弁護士や司法書士といった専門家に就任してもらうこともできます。
家族だけでは何かあったときに不安という方は、専門家に相談してみるのがいいでしょう。このように民事信託には、その実効性を担保するための仕組みもあるので、積極的に活用していきたいですね。
信託に関するご相談は、永田町司法書士事務所までお問い合わせください。
永田町司法書士事務所