相続における嫡出子と非嫡出子の違い -法務担当者向け基礎知識-
嫡出子と非嫡出子
嫡出子とは、婚姻届を提出した夫婦の間に生まれた子供の事を言います。
逆に、嫡出でない子(以下「非嫡出子」といいます。)とは婚姻届を提出していない夫婦、つまり内縁関係の夫婦の間に生まれた子供のことをいいます。
非嫡出子は婚姻届を提出していない男女の間に生まれた子供ですので、愛人との間に生まれた子供なども含まれます。
具体例
具体例を上げますと、嫡出子とは、父母が婚姻届を提出しており、その婚姻中に妊娠、出産した子・婚姻してから201日目以降に生まれた子・未婚であっても生まれて認知されており、その後に父と母が婚姻届を提出した子・父が亡くなった後、または離婚した後300日以内に生まれた子・未婚の間に生まれて、その父と母が婚姻届を提出した後、認知を受けた子・養子縁組をした子のことなどを指します。
どのような違いがあるか
それでは、嫡出子と非嫡出子とでは、どのような違いがあるのでしょうか?
まず、相続についてですが、相続には順位が存在します。
被相続人の配偶者(夫・妻)は常に相続人となります。次に、被相続人の子や父母、兄弟と順位に沿って相続をすることになります。
被相続人の子については、平成25年の12月5日に、民法の改正がありました。
改正前の法律によると、非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の2分の1、つまり半分とされていましたが、上記の法改正により、嫡出子と同じ相続分になっています。嫡出子も非嫡出子も相続分の区別がなくなったということです。
相続分の区別は違憲
非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とする改正前民法900条4号ただし書の規定は、憲法14条1項の法の下の平等に違反するとする最高裁判所の違憲判決を受けました。
嫡出子であろうと非嫡出子であろうと同じ子なのに、婚姻関係にある親から生まれたか、そうでないか、という子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由として、その子に不利益を及ぼすことは許されず,子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるというのが判決の趣旨です。
認知を受けたかが重要なポイント
上述のように違憲判決を受け、民法の改正が行われたのです。
子の相続については、実子であろうが、養子であろうが、嫡出子・非嫡出子であろうが相続分には区別はなくなったのですが、非嫡出子として生まれた子が父を相続する場合、父から認知を受けていることが必要であるということがポイントとなります。
父から認知を受けていない場合、非嫡出子は父親の相続については相続人となることができません。一方で産んでくれた母親の相続については認知がなくても分娩という事実により子は相続人となります。
父の相続においては、非嫡出子が父の認知を受けているのか、いないのかが、非常に大きな問題となるのです。
さいごに
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