登記簿の体裁と記載される種類株式・新株予約権の内容
登記簿の体裁
種類株式や新株予約権を発行する会社では、
登記簿に記載される「種類及び数」や「内容」の見え方が気になる場面があります。
特にスタートアップや金融機関案件では、
・種類株式の名称が長い
・新株予約権の条項数が多い
といった事情から、登記簿の体裁が読みにくくなることも珍しくありません。
もっとも、登記実務において重要なのは、
体裁そのものよりも、登記すべき事項が正確に反映されているかです。
本稿では、種類株式・新株予約権の登記記載について、実務上の考え方を整理します。

発行済株式の総数・種類・数の記載の基本
登記すべき事項については、原則として登記申請書に記載した文言をもとに登記されます。
登記官が一定の整形を行うことはありますが、
申請書に書いた内容と全く異なる表現に修正されるわけではありません。
そのため、
「この表記で登記されて困らないか」
という視点で、申請書側で整理しておくのが実務上は無難です。
なお、
・数字の位置
・空白の取り方
・揃え方
といった体裁の違いによって、法的な効力に差が生じることはありません。
体裁の違いは「見た目」の問題にすぎない
発行済株式の種類・数の記載については、
実務上、いくつかの典型的な並び方が見られます。
・株式名の後ろをそろえる
・数字の桁をそろえる
・「株」の位置をそろえる
いずれの形であっても、
登記内容としての意味は同一です。
したがって、「どの体裁が正しいか」というよりも、
どの体裁なら誤読されにくいか、又は後日の説明がしやすいか
という観点で整理すれば足ります。
名称が長い種類株式の扱い
種類株式の名称が長い場合、1行に収まらず、途中で改行されることがあります。
この場合でも、改行されているからといって株式が分断して記載されているわけではありません
登記簿上は、あくまで一つの種類株式として連続した記載と理解されます。
なお、商業登記において、新株予約権の内容など登記すべき事項については、
1行当たりの文字数は34文字となりますが、末尾が「、」や「。」になる場合、当該一部記号については、35文字目として同じ行に入ります。
しかし実務上は、
・無理に1行に詰め込まない
・読み手が株式名と株数を対応づけやすい
という観点で、申請書の記載を調整することが多いところです。
種類株式・新株予約権の「内容」記載の考え方
種類株式の内容や新株予約権の内容は、
一定の文字数制限を前提として、項目ごとに分けて記載されます。
内容が多い場合には、
・項
・号
・番号
・記号
を用いて整理するのが一般的です。
重要なのは、内容の構造が分かることであって、改行や字下げの有無そのものではありません。
改行・字下げ・ぶら下げは「設計の問題」
登記すべき事項の記載方法としては、
・改行を最小限にする
・字下げを行う
・ぶら下げ形式にする
など、複数の選択肢があります。
どの方法を採るかは、
・見やすさを重視するか
・登記簿のページ数を抑えたいか
といった事情によって判断されます。
特に、
種類株式や新株予約権を複数回発行することが想定される会社では、
あえて簡素な記載に寄せることも、実務上は合理的です。
申請書の書き方が登記簿に与える影響
登記官が体裁を整えてくれることはありますが、最終的な登記の基礎になるのは申請書の記載です。
そのため、
・将来の変更登記との整合性
・種類や回号が増えた場合の見通し
まで意識して、
最初の段階で「崩れにくい書き方」を選ぶ方がよいでしょう。
少なくとも登記申請をプロの司法書士へ依頼する場合は、そのように対応します。
本コラムのまとめ
種類株式や新株予約権の登記において、
・体裁は重要だが、本質ではない
・法的効力は、体裁ではなく内容で決まる
・実務では「読みやすさ」と「将来の運用」を基準に整理する
という割り切りが有効です。
登記簿は、「きれいに並んでいるか」よりも、
誰が見ても同じ内容を読み取れるか
という観点で設計するのが、実務家としての合理的な対応といえます。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、登記簿の体裁と記載される種類株式・新株予約権の内容について解説しました。
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