合同会社から株式会社へ組織変更した場合、取締役の「最初の任期」はいつから数えるのか
合同会社から株式会社へ組織変更した場合の取締役の任期
合同会社から株式会社へ組織変更を行うと、会社の外形だけでなく、役員制度の前提が大きく変わります。
その中でも、実務で意外と見落とされやすいのが、取締役の最初の任期の起算点です。
「合同会社時代は任期なんて気にしていなかった」
「株式会社になったけれど、いつまでに再任手続が必要なのか分からない」
こうした相談は、組織変更から数年経ってから表面化することも少なくありません。
合同会社と株式会社では「任期」の考え方が根本的に違う
まず前提として、合同会社と株式会社では、役員の任期に対する制度設計が異なります。
合同会社
業務執行社員には、法律上の任期はありません
(定款で任期を設けることは可能ですが、必須ではありません)
株式会社
取締役・監査役には任期があり、定款で定めます
任期の長さは登記簿には記載されません
この違いが、組織変更時に「いつから任期を数えるのか」という問題を生みます。
組織変更後、取締役の任期はいつから始まるのか
結論から言うと、
取締役の最初の任期の起算日は「組織変更の日」です。
たとえば、
組織変更後の定款で取締役の任期を10年と定めた場合
その10年は「組織変更によって株式会社が成立した日」から数えます
合同会社として事業を行っていた期間は、任期のカウントには一切影響しません。

「設立日」ではなく「組織変更日」が基準になる理由
組織変更は、単なる商号変更や定款変更とは異なり、
株式会社が新たに成立する行為として整理されます。
そのため、登記記録上も、
「○年○月○日 合同会社○○を組織変更し設立」
という形で記載され、この日付が株式会社としてのスタートラインになります。
取締役の任期も、この株式会社としての成立時点を基準に考えるのが実務の整理です。
任期は登記されず、通知も来ない
取締役の任期は、登記簿には記載されません
任期満了が近づいても、法務局から通知は来ません
つまり、
任期管理は完全に会社側の自己責任です。
組織変更から5年、10年経過したタイミングで、
「実はもう任期が切れていた」
というケースも、決して珍しくありません。
任期満了を放置すると何が起きるか
任期満了後も取締役が引き続き職務を行っている場合、
法律上は一定の整理がされますが、登記を放置してよいわけではありません。
特に、
・金融機関対応
・投資・M&A
・株主構成の変更
といった局面では、「役員の任期が適切に管理されていない会社」として問題視されることがあります。
組織変更後の役員管理は、設立時以上に重要になる場面もあります。
本コラムのまとめ
合同会社から株式会社へ組織変更した場合、
取締役の任期は合同会社時代ではなく組織変更の日からスタートします
そして、その任期は
・登記に出ない
・通知も来ない
という点を前提に、会社側で管理する必要があります。
補足、有限会社から株式会社へ変更した場合は扱いが異なります
本コラムでは、合同会社から株式会社へ組織変更した場合を前提に、取締役の最初の任期の起算点を整理しました。
もっとも、有限会社の場合は前提が異なります。
有限会社から株式会社へ変更(いわゆる特例有限会社からの移行)した場合には、
任期の起算点や考え方が合同会社の場合と同一にはなりません。
有限会社から株式会社へ変更した場合の取締役の任期の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
有限会社から株式会社へ移行すると「役員任期」はどう扱われるのか
手続きのご依頼・ご相談
本日は、合同会社から株式会社へ組織変更した場合、取締役の「最初の任期」はいつから数えるのかについて解説しました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。




