条件付辞任届について「〇月開催の株主総会終結の時をもって辞任」と記載することは可能か
条件付辞任届
ある株式会社において、辞任予定の取締役が次回の株主総会で辞任する意向を示していました。
しかし、臨時株主総会の具体的な開催日が未定であったことや、事前に辞任届を提出しておきたいという要望がある場合に、
辞任届に条件を付すことが可能かという問題があります。
この点について、実務上の取扱いを確認するため、法務局に照会を行いました。
【照会内容】
「私は、2025年10月開催の臨時株主総会の終結の時をもって辞任いたしたくお届けいたします。」
といった記載の辞任届は、登記の添付書類として有効か。
辞任については、特定の日付ではなく「条件付き」で行うことも可能であり、
「〇月開催の株主総会の終結の時をもって辞任する」という条件は合理的な範囲内であるため、有効と考えられますがいかがでしょうか。
法務局の回答
法務局からは、上記のような記載方法で差し支えない(登記の添付書類として有効)との回答がありました。
今回、照会したのは、臨時株主総会でしたが、例えば「10月に開催される定時株主総会の終結の時をもって辞任する。」
と記載した場合も、特に会社に不利益が生じるものではなく、合理的な期間内であれば登記の添付書類として問題ないとされています。
実務上のポイント
・辞任届に条件や期限を付すことは可能
・辞任は本人の意思表示により成立するため、「特定の株主総会終結時」を効力発生日とすることができます。
・開催日が未確定でも「〇月開催の株主総会終結の時」との記載であれば、登記実務上も認められることが確認されています。
合理的な期間内であることが前提
開催予定時期が極端に先であったり、開催の確実性が乏しい場合には、合理性を欠くとして受理されない可能性もあります。
通常は、数週間〜数か月先程度の総会予定であれば問題ありません(月を特定できていれば問題ないかとおもいます)。
登記申請時の整理
このような「特定の株主総会終結時辞任」は、辞任効力発生日を総会の決議タイミングに合わせたい場合や事前に役員から辞任届を改修する場合に有効です。
新任取締役の選任登記と同時進行で処理するケースにも適しています。
本コラムのまとめ
「私は、〇年〇月開催の定時(または臨時)株主総会の終結の時をもって辞任いたしたくお届けいたします。」
この記載方法により、辞任効力を会社の手続進行に合わせて柔軟に設定することができます。
株主総会日が未確定の段階でも、合理的な範囲内であれば登記上問題ないため、臨機応変活用していきましょう。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、条件付辞任届について「〇月開催の株主総会終結の時をもって辞任」と記載することは可能かについて解説しました。
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