合同会社の登記手続

合同会社の職務執行者の「選任時期」と決議内容をどう整えるか?いつ決められる?どこまで書く?登記でつまずかない実務整理

結論(本コラムの要点)

選任時期は、株式会社役員のような明文の時期制約は見当たらず、実務上は早い段階でも整合が取れれば足りるという見立てが成り立ちます。もっとも、法務局の運用では、定款作成後の決議や明確な「選任する」記載を求められることがあり、安全運用を優先するなら「定款作成後・登記直前の取締役会等で明示的に選任」がおすすめです。
決議内容は、「職務執行者として○○を選任する」「置いた営業所(該当があれば)」等、登記・添付の読み手に選任が一義に分かる表現が必要です。会社概要の欄に氏名が載っているだけでは不足と判断され得ます。
社内関係(他社員との関係)は、本件では業務執行社員(=法人)側の専権で足りますが、登記段階では選任経緯が分かる書面を法務局に示す必要があります。

そもそもどの時点で選任できるのか

実務感覚としては、株式会社のような法定の時期制限はなく、「どの合同会社の職務執行者か」が特定でき、本人の承諾意思が前提であれば、かなり早い時点(定款作成前の社内方針決定段階)でも理屈は立ちます。
一方で、登記の審査は書面主義。実例では、
定款作成よりかなり前の決議に対し、時期が早すぎる/定款後に改めてと指導された例、
・議事録本文には選任の記載がなく合綴資料に「選任します」とあるのみで、内容不十分とされた例、
がありました。

したがって、安全運用としては、
定款作成後かつ登記申請直前の近い日付で、
・取締役会等にて「選任する」旨を明示
・当該合同会社を特定し、必要に応じて置いた営業所等も記載、
という形に揃えるのが無難です。

決議の書きぶり(不足しがちなポイント)

必ず「選任する」と書く(会社の概要欄に氏名を記すだけでは不可になり得る)。
対象の合同会社を特定する(商号・設立予定の旨など)。
時期の整合(定款作成前の古い決議のみだと差し戻しのリスク)。
・複数の職務執行者を置く場合、社内の決定方法(誰がどう意思決定するか)は定款や内規での整理余地はあるものの、登記上は選任の事実が明確であれば足ります。

よくある詰まりどころと実務メモ

「社内では専権だから登記でも説明不要?」
→ 他社員への通知は不要でも、法務局には選任の根拠書面(決議)が必要。

昔に選んである職務執行者を、代表社員化に伴って登記したい
→ 「昔の議事録」の文言・時期に難があると補正リスク。必要に応じて取り直しを検討。

本店移転・他手続との絡み
→ 期日が密集するため、決議の時期・文言を早めに固めておく。

登記事項の範囲
→ 職務執行者は代表社員が法人の場合に登記される。ただし、代表社員でない場合も選任自体はあり得る(登記は不要)。

本コラムのまとめ

・合同会社の職務執行者は、理屈上は早めの選任も可能だが、登記の現場は“書面で一義に分かること”を重視。
・定款作成後・近接日付・明示の選任記載という三点セットで、安全に通す設計が現実的です。
・レアケース(昔の決議流用、複数職務執行者の内部決定方法など)は、事前相談と書面整備で詰まりを避けるのが得策です。

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本日は、合同会社の職務執行者の「選任時期」と決議内容をどう整えるか?いつ決められる?どこまで書く?登記でつまずかない実務整理を解説いたしました。
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本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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