新株予約権(SO)

新株予約権の行使期間満了月における登記原因日の取扱い

行使期間の満了

新株予約権の行使に関する登記は、通常は毎月末日を登記原因日としてまとめて処理することが認められています(会社法915条3項)。
しかし、行使期間の満了月については、通常の取扱いと異なる点があり、実務上の注意が必要です。

通常月の取扱い

・新株予約権の行使は、当月内の複数行使を月末日付の1件の変更登記にまとめることができます。
・例:12月中に行使があった場合 → 「12月31日変更」として登記可能。

行使期間満了月の特殊ルール

・行使期間の満了日を過ぎると新株予約権は消滅するため、満了日より後の日付で変更登記を行うことはできません。
・このため、行使期間の満了月については、「満了日」を登記原因日とし、満了日までの行使分をまとめて登記する扱いとなります。

例:満了日が9月15日の場合
・9月中の行使分は「9月15日変更」として登記。
・9月16日以降は新株予約権が消滅するため、登記原因日を9月30日とすることはできない。

全部行使の場合

・満了日前に全て行使されたときは、行使日を登記原因日とし、「新株予約権全部行使」として抹消登記を申請。
・満了日を待つ必要はなく、実際の行使日で登記するのが原則。

一部行使が残った場合

・満了日までに行使された分は「満了日変更」として登記。
・残りは「満了日翌日付」で新株予約権消滅登記が必要。
・この場合、登録免許税が追加で発生(3万円)するため、結果的に費用差が生じる。

実務上の注意点

・登記官によって補正指摘を受けることもあり、判断に迷いやすい領域。
・「満了日前の全部行使」と「満了日までの一部行使+残存消滅」では処理方法が異なるため、事前に社内でスケジュール調整を行い、費用面も考慮することが望ましい。

本コラムのまとめ

新株予約権の行使期間満了月は、通常月とは異なり、登記原因日を満了日とする点に注意が必要です。
全部行使の場合は行使日を基準とし、未行使分が残れば「行使」と「消滅」の2つの登記原因を併せて処理することになります。
些細な手続の違いが登録免許税額に影響するため、事前の確認と記録の正確な把握が不可欠です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、新株予約権の行使期間満了月における登記原因日の取扱いについて解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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