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会計参与の「書類等備置場所」と登記実務 、事務所移転時の注意点と確認の難しさ

会計参与の書類等備え置き場所

会計参与を設置している会社は珍しい部類に入りますが、登記実務においては特有の注意点があります。その一つが、会計参与の「書類等備置場所」に関する登記事項です。

書類等備置場所とは

・会計参与は、取締役と共に計算書類を作成する役割を担うため、会社法により計算書類等の備置義務があります。
・この備置場所は、通常は会計参与(税理士・公認会計士等)の事務所住所が登記されます。
・したがって、税理士事務所などが移転した場合には、会社側で備置場所変更の登記が必要になります。

登記漏れが生じやすい理由

・実務では、顧問税理士の事務所移転を会社が把握していても、「その住所が登記事項になっている」という意識が薄いことが多い。
・任期を伸長している場合、再任の登記を行うタイミングまで気づかないことも少なくありません。
・今回のケースでも、3年前の事務所移転が、役員改選登記の準備中に初めて判明しました。

税理士資格証明書の確認と実務の疑問

・登記の添付書面として提出する「税理士資格証明書」には、氏名・住所(自宅)・登録番号が記載されています。
・ただし、会計参与の登記事項として求められるのは「事務所の住所」であり、資格証明書に記載される住所(自宅)とは一致しない場合があります。
・事務所移転日の確認についても、住民票のような証明書類はなく、税理士会への届出書類を頼りにするしかないのが実情です。
・結果として、最終的には口頭確認に頼らざるを得ないこともあり、実務的には不安が残る部分です。

会計監査人との比較

・会計参与と似た存在である会計監査人の場合、事務所住所は登記されません。
・この点で、会計参与だけが「備置場所」という形で事務所住所を登記事項とする仕組みになっており、実務上の負担が大きいといえます。

本コラムのまとめ

・会計参与を設置している会社では、税理士事務所の移転=備置場所変更登記が必要となります。
・しかし、移転日や住所の確認が難しく、登記漏れが起こりやすいのが現実です。
・司法書士としては、定期的な確認や、再任登記の前に会計参与事務所の現住所を再確認する仕組みを整えることが有効といえるでしょう。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、会計参与の「書類等備置場所」と登記実務 、事務所移転時の注意点と確認の難しさについて解説いたしました。
会社法人登記・商業登記に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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