事業目的 / 登記申請手続(各種)

持株会社の事業目的はどう定めるべきか?実務上の論点整理

会社の目的

設立段階では、公証人が「発起人である会社の事業目的が、設立会社の目的を網羅しているか」を確認します。
そのため、目的の不整合があれば定款認証が受けられません。
もっとも実務では「部分的に一致していればよい」とされることが多く、子会社の目的すべてが親会社に含まれていなくても許容される扱いになっています。
また、許認可事業の場合は、定款にその事業目的が明記されていなければ認可を取得できないため、事業内容に即した正確な記載が必要です。

純粋持株会社と事業持株会社

従来の解説では以下のように整理されてきました。

・純粋持株会社→子会社の株式を所有し管理する目的を掲げる
・事業持株会社→自らの事業目的に加えて子会社の事業を掲げる

ただし、実際にはどちらの形式でも、通常の事業目的に株式保有の目的を追加すれば足りると考えられます。
上場会社に限らず、100%子会社を持つことは珍しくなく、あえて強調する必要性は乏しいためです。

実務上の大きな壁

理屈の上では「子会社の事業目的をすべて親会社に加える」のが最も明快です。
しかし、実務では次のような課題が顕著です。

・子会社の目的が数十項目以上に及ぶ場合、親会社は何百もの目的を掲げることになり非現実的
・実際に行っていない目的や重複表現が多く、精査が必須
・法務部や総務部が全容を把握していないことがあり、最終的に事業部門と詳細確認が必要
・専門用語も多く、部署間での調整に時間と労力を要する

そのため、目的整理は後回しにされる傾向がありますが、実際に再検討する会社は少数です。
特に「きちんと整備したい」と考える会社ほど、複雑で多岐にわたる事業目的に直面し、調整は一層困難となります。

結論と実務的示唆

まとめると、
・親会社の事業目的は子会社事業をカバーする必要がある
・ただし、すべてを網羅するのは実務上困難であり、部分的一致でも認められる場合が多い
・純粋持株会社か事業持株会社かによって形式的に区別する必要はない
・実務では、通常の事業目的+株式保有目的の形で十分対応可能

最終的には、会社の実態を把握したうえで、どこまで目的を取り込むかを判断し、関係部門と協議しながら整理する姿勢が不可欠です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、持株会社の事業目的はどう定めるべきか?実務上の論点整理について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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