効力発生日の変更の要点整理、合併や資本金の額の減少手続きの効力発生日の変更
効力発生日を定める位置づけ
吸収型の合併・会社分割では、契約書に効力発生日を記載することになりました(商法時代の「合併期日」に相当)。
一方、新設型の組織再編では、効力は登記(登記申請日)で発生するため、計画書に効力発生日を記載する必要はありません。
期日までに手続を終えられないとどうなるか
法律で定められた手続(債権者保護手続、株主への通知など)を効力発生日までに終えられなかった場合、合併の効力は発生しません。
それまでの手続は白紙と同様の扱いになります。
変更の可否と決定機関・公告
組織再編(吸収型)
当事会社の代表者の合意と、取締役会等の業務執行機関の決議で効力発生日を変更可能。
さらに、変更前の効力発生日の前日までに変更公告が必要です。
減資(資本金の額の減少)
業務執行機関(取締役会設置会社は取締役会。代表取締役への委任も可)の決定で変更可能。
変更公告は不要とされています。
※ 合併契約等を株主総会で承認している場合、内容によっては株主総会で契約変更の決議が必要となることもあり得ます。
効力発生日について法律が明確に規定されているのは、この判断が実務上重要になるためと考えられます。
公告実務の注意点
・公告方法は定款の定めに従うこと(定款が電子公告なら官報掲載は誤り)。
・変更公告は前日までに掲載が必要。媒体ごとの掲載所要日数を事前確認しておくこと。
・合併公告に効力発生日を載せていなくても、変更公告は必要です。合併公告と変更公告は別の制度であり、合併契約の内容自体は事前開示事項で確認できるためです。
新設型の取扱い(参考)
新設分割など新設型では、効力は登記(申請日)で発生します。
計画書に効力発生日を記載しても、登記の都合で予定どおり申請できない場合があり得るため、その日付は努力目標的な位置づけにとどまると考えられています(法律上の「変更手続」を要する性質のものではない扱い)。
合併期日の書き方
合併契約における効力発生日(合併期日)は、具体的な日付で定める必要があります。
「●月●日から●月●日までの間で当事者が協議して定める」といった幅を持たせた定め方は不可とされています(会社法の計算詳解 第2版 384頁)。
本コラムのまとめ
・吸収型の効力発生日変更は代表者合意+業務執行機関の決議+前日までの変更公告。
・減資は業務執行機関の決定で変更可、変更公告不要。
・公告方法は定款どおり。媒体の締切と前日まで掲載を厳守。
・新設型は登記で発生。計画書の日付は実務上努力目標。
・合併期日は具体日で記載し、レンジ指定は不可。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、効力発生日の変更の要点整理について解説いたしました。
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