組織再編

債権者保護手続における電子公告の中断と実務対応

電子公告中断のリスク

組織再編や減資などで必要となる債権者保護手続において、公告方法を電子公告とする場合があります。
通常は中断など想定されませんが、サーバーダウン等で公告が一時的に表示されない事態が発生すると、手続自体の有効性に疑義が生じます。

法律上の要件(会社法第939条第3項)

電子公告の中断があっても有効とされるためには、次の要件をすべて満たす必要があります。
1.会社が善意で重過失がないこと、または正当事由があること
2.中断時間の合計が公告期間の10分の1を超えないこと
3.中断を知った後速やかに追加公告を行うこと
(a)中断が生じた事実
(b)中断が生じた時間
(c)中断の内容
を付記した公告を、本来の公告期間中に行う必要があります。

実際の事例と対応

ある大手企業の合併手続で、公告期間満了前日に電子公告が数時間中断しました。
→中断時間は全体の10分の1未満
しかし、追加公告(③)ができない状況(期間満了直前だったため)
この場合、正当事由を上申することで法務局に受理され、無事合併登記が完了した事例が確認されています。

実務上の教訓

・電子公告は中断ゼロを前提に運用すべき。
・IT部門と法務部門の連携が欠かせない。
・担当者が「中断が重大な問題になる」という認識を持たないと、危険を見過ごしてしまう。
・公告のやり直しは不可能で、無効とされれば手続全体がやり直しになる。

本コラムのまとめ

債権者保護手続において電子公告を選択する場合は、
・中断が起きない体制の確立
・中断発生時の迅速な対応マニュアル
を事前に準備しておくことが不可欠です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、債権者保護手続における電子公告の中断と実務対応について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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