株式分割
端株制度とその解消方法、制度の沿革と実務上の対応
端株制度の沿革
昭和56年商法改正
・1株あたり5万円以上の価値を確保するため「単位株制度」「端株制度」が導入。
・上場会社は単位株制度が強制、非上場会社は任意。
・端株は「1株未満で100分の1以上の株式」として認められた。
平成2年改正
・「端株券を発行しない旨」を定款に定めることが可能に。
・端株主に対して会社に買取請求できる権利が新設。
平成13年改正(金庫株解禁)
・単位株制度が廃止され「単元株制度」へ。
・端株券は廃止、代わりに「端株原簿不記載」を定款で規定可能に。
会社法施行(平成18年)
・端株制度そのものは廃止。
・ただし、施行前から存在していた端株は従前の例により存続(整備法86条)。
端株の解消手法
端株が残っている場合の解消手段は複数ある。メリット・デメリットを整理すると以下のとおり。
方法 | 内容 | 実務的なポイント |
---|---|---|
株式分割 | 既存株式を一定比率で分割 | 一番利用しやすい。非上場会社でも可能 |
株式無償割当て | 株主に無料で新株を割り当て | 端株解消には原則使えない(整備法86条) |
株式買取請求 | 株主が会社に買い取りを請求 | 株主の同意が必要。強制力なし |
株式買増請求 | 株主が会社に請求し、端数分を自己株式で補充 | 定款規定と自己株式保有が前提。実務的にはほぼ利用なし |
端株の廃止 | 端株を削除し、売却代金を分配 | 非上場会社では裁判所の許可や競売が必要で非現実的 |
種類株式発行会社における特則
端数等無償割当て制度(整備法88条)
種類株式発行会社に限り、端株をまとめて「端数等無償割当て」で処理できる。
・株主総会の特別決議が必要
・ただし種類株主総会は不要(整備法88条5項)
・株式分割よりも手続が簡易になるケースがある
実務上の結論
1.非上場会社で残っている端株は極めて珍しいが、実際に存在するケースもある。
2.各種制度はあるものの、現実的に利用できるのは株式分割が中心。
3.上場会社や種類株式発行会社では、整備法88条による「端数等無償割当て」が例外的に使える。
4.いずれの場合も、端株を放置することは適切でなく、早期の解消が望ましい。
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端株制度とその解消方法、制度の沿革と実務上の対応について解説いたしました。
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