補欠・増員取締役の任期と定款規定の盲点
任期改選期と補欠選任の確認
取締役の任期は、会社によって1年や2年など異なります。
改選期には、補欠取締役の選任や増員が行われることもありますが、任期計算には注意が必要です。
特に監査役については、補欠選任の有無で任期が変わるため、過去の株主総会議事録を確認しなければ正確な判断ができません。
登記記録だけでは判別できないため、法務局から改選期確認の連絡が入ることもあります。
定款の任期規定の不足
定款には「補欠または増員取締役の任期は他の在任取締役と同一とする」といった規定を置くことが一般的です。
しかし、公証人からは次の指摘がありました。
「この記載だけでは不十分ではないか?」
会社法施行前は、取締役が全員交代する場合は補欠に該当せず、任期の承継はできませんでした。
現在は全員交代の場合でも補欠とすることが可能で、その場合は前任者の任期を引き継げます。
「他の在任取締役」だけでは対応できないケース
補欠取締役の任期承継を定款に規定する場合、従来は「他の在任取締役」とだけ記載しても実質的に問題はありませんでした。
なぜなら、商法時代は必ず1人以上の取締役が残り、前任者と在任取締役の任期は同じだったからです。
しかし、全員交代のケースでは「他の在任取締役」が存在せず、この文言だけでは任期承継ができない解釈になりかねません。
全員交代時の定款規定の工夫
現在の会社法下では、全員交代時に任期承継を認めたい場合、定款に「前任者の任期を承継する」旨を明記しておく必要があります。
もっとも、全員交代は会社買収など特殊な状況でしか発生せず、任期承継をしない選択も可能です。
しかし、定款上は「補欠は承継できる」としていながら、在任取締役がいない場合は承継できないという不自然さを避けるため、規定の見直しが望まれます。
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本日は、補欠・増員取締役の任期と定款規定の盲点について解説いたしました。
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