定時株主総会が開催されるべき期間の満了日と役員任期の関係
定時株主総会開催時期と役員任期の基本関係
定款に定められた時期に定時株主総会が開催されない場合、役員の任期はどう扱われるのでしょうか。
先例(昭和38年5月18日民甲第1356号回答)によれば、「定時総会が定款所定の開催時期に開催されなかった場合の取締役及び監査役の任期満了による退任日は、定款所定の定時総会が開催されるべき期間の満了日である」とされています。
この解釈の背景には、取締役が意図的に開催時期を遅らせることで、事実上任期を延長する事態を防ぐ狙いがあります。
したがって、定款で「事業年度終了後3か月以内」と定められている場合、それ以降に開催された株主総会が「定時総会」と称されても、役員任期は3か月の満了日で終了します。
定款規定の有無と満了日の扱い
満了日の考え方は、定款に定時総会の開催時期が明記されているか否かで異なります。
定款に「事業年度終了後○か月以内」とある場合
→ その期間の満了日で任期終了。3か月以内とは限らず、2か月や4か月もあり得ます。
定款に開催時期の規定がない場合
→ 商法時代は3か月満了とする見解もありましたが、会社法では一律の期間制限はなく、判断は容易ではありません。
通常、基準日の効力が3か月とされる関係で、多くの会社が3か月以内に開催していますが、規定の有無や内容によって満了日は異なり得ます。
遅延開催・継続会の場合の取扱い
定款所定の期間内に開催されなかった場合の具体例として、3月決算会社で「事業年度終了後3か月以内開催」の定款を有し、7月20日に株主総会を開いたケースが挙げられます。この場合、役員任期は6月30日で満了します。
また、継続会や延会の場合は次の通りです。
開催日 | 任期満了日 |
---|---|
期間内(例:6月30日まで) | 継続会等の終結時 |
期間後(例:7月1日以降) | 期間満了日(例:6月30日) |
現実の開催状況と実務上の留意点
中小企業では、計算書類承認以外の議案がない年は定時総会自体を開かないことも珍しくありません。
その場合、形式上は法令違反ですが、株主構成や利害関係から問題化しにくく、遅れて臨時総会で承認する運用も見られます。
一方で、合弁会社などでは配当額を巡る意見対立や、会計監査人の監査報告の遅延により、招集が定款時期を過ぎることもあります。
このような場合でも、役員任期は定款所定期間の満了日で終了する点に注意が必要です。
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本日は、定時株主総会が開催されるべき期間の満了日と役員任期の関係について解説いたしました。
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