不動産登記手続

共有持分を売却する手続の流れと費用を司法書士が解説

共有名義の不動産

相続や共同購入などで発生する「共有名義の不動産」
この共有持分を売却したい場合、どのような手続を経て、どのような費用がかかるのでしょうか。司法書士法人永田町事務所が、共有不動産の基本から売却方法、注意点、費用の目安までを詳しくご説明します。

共有持分とは?共有不動産の基本構造

共有持分とは、複数人が一つの不動産を法的に共同で所有している状態を指します。所有者はそれぞれの「持分」に応じた権利と義務を持ちます。よくある共有の発生例としては以下のようなものがあります。

共有が発生するケース 内容
相続 親名義の不動産をきょうだいで相続
夫婦の共同購入 持分を半々で取得し住宅ローンを組む
親子での資金出資 二世帯住宅の購入等


共有不動産の売却はできるのか?

結論から言えば、「自分の持分のみ」は自由に売却可能です。不動産全体を売却するには、全共有者の同意が必要です。

▼ 行為別の同意要件(民法)

行為内容 必要な同意
保存行為 修繕・補修など 単独可
管理行為 短期賃貸・修繕計画 過半数の同意
処分行為 持分売却・建物取壊し 全員の同意


共有持分売却の主な方法

共有持分の売却には主に以下の4つの方法があります。

方法 特徴 メリット デメリット
他の共有者に売却 家族や共同所有者に売る 調整が楽 希望者がいない場合も
不動産買取業者に売却 持分を専門業者へ譲渡 即現金化可 買取価格が低め
全体売却 共有者全員で売却 市場価格で売却可能 同意形成が困難な場合も
土地の分筆 物理的に分けて売却 単独所有可能 測量・登記費用が発生


共有持分売却の手続きの流れ

売却の流れは以下のとおりです。特に重要なのは、①同意形成と②法的手続です。

1.共有者間で協議・合意
2.不動産の査定(鑑定士などに依頼)
3.売却価格の決定
4.買主の選定(仲介業者に依頼するケースも)
5.売買契約の締結
6.代金決済
7.所有権移転登記(司法書士が代理)

必要書類と費用の目安

▼ 売却時に必要な主な書類

書類 説明
登記簿謄本 所有権確認に使用
印鑑登録証明書 売主の本人確認書類
売買契約書 法的に必須の書類

その他、住民票・評価証明書・境界確認書などが必要になる場合もあります。

▼ 発生する主な費用・税金

費用項目 内容 概算費用(目安)
印紙税 売買契約書に貼付 200円~6万円程度
登録免許税 所有権移転登記時 評価額の2%
仲介手数料 仲介業者へ 最大「価格の3%+6万円+消費税」※法改正により上限変更あり
司法書士報酬 登記手続報酬 5~10万円前後(地域差あり)


トラブルを防ぐための対策

共有不動産は将来のトラブルの火種にもなりやすいため、以下のような予防策が有効です。

・相続前に遺言書を作成して共有状態を避ける
・相続後は速やかに遺産分割協議を行う
・共有状態を解消するための分筆や買い取り合意を進める

手続きのご依頼・ご相談

共有持分の売却・相続登記・名義変更など、あらゆる登記手続をサポートしています。
相続登記・会社法人(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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