登記申請手続(各種)

外国人の登記情報と公的書類のカタカナ表記が違う場合、どの表記に合わせるべきか?

外国人のカタカナ表記

日本で会社を設立・運営する外国人の方にとって、登記情報(商業登記簿)と公的書類(在留カード・マイナンバーカード・住民票など)のカタカナ表記が異なるという問題が発生することがあります。
このような場合、どの表記に統一すべきか、登記の実務上の観点から解説します。

なぜ表記の違いが生じるのか?

外国人の氏名の表記は、ローマ字(アルファベット) が正式なものですが、日本の行政機関や登記制度では、便宜上カタカナ表記が用いられます。
しかし、カタカナ表記には統一されたルールがなく、以下のような違いが生じることがあります。

・ 登記情報(商業登記簿):会社設立時に申請したカタカナ表記が使用される
・ 住民票・印鑑登録証明書:市区町村ごとに独自のルールでカタカナ表記が決まる
・ 在留カード:カタカナ表記はなく、ローマ字表記のみ
・ マイナンバーカード:住民票のカタカナ表記に基づく



例えば、「Michael Brown」という名前の場合、

登記簿:マイケル・ブラウン
住民票:マイクル・ブラウン
銀行口座:マイケル・ブラウン

のように異なる表記になってしまうことがあります。

どの表記に合わせるべきか?

結論から言うと、住民票・印鑑登録証明書の表記に統一するのが望ましいです。

理由①:公的証明書と一致させることで、手続きがスムーズになる
銀行口座開設・契約・行政手続きなど、登記情報と公的書類の表記が一致していないと手続きが煩雑になります。

理由②:印鑑登録証明書の表記が、登記手続きで求められる
登記の変更や商業登記簿を使用した契約手続きでは、印鑑登録証明書の提出を求められることが多く、表記が異なると手続きが滞る可能性があります。

理由③:在留カードにはカタカナ表記がない
在留カードにはローマ字表記しか記載されないため、「在留カードに統一する」という選択肢は実務上困難です。そのため、他の公的書類(住民票・印鑑登録証明書)に基づく表記が妥当となります。

登記情報を変更する方法

もし現在の登記簿の表記が、住民票や印鑑登録証明書のカタカナ表記と異なる場合、「更正登記」を行うことで統一が可能です。

変更の流れ

1.住民票・印鑑登録証明書を取得(市区町村役場で取得)
2.登記簿と異なる場合、司法書士等に相談
3.更正登記を申請(法務局へ提出)
4.登記完了後、新しい登記簿謄本を取得

変更のメリット

・公式な身分証明書との表記統一により、銀行・行政手続きがスムーズになる
・取引先との契約での不一致を防ぐ
・長期的に見て、手続きの簡略化につながる

変更のデメリット

・登記費用が発生する(登録免許税+手続費用)
・登記簿に「更正」の履歴が残る(過去に修正があったことが分かる)

手続きのご依頼・ご相談

外国人の登記情報と公的書類のカタカナ表記が違う場合、どの表記に合わせるべきかについて解説しました。
本コラムをまとめますと、

・ 外国人の氏名のカタカナ表記が異なる場合、住民票や印鑑登録証明書の表記に統一するのが望ましい
・ 登記情報と住民票・印鑑登録証明書の表記を一致させることで、手続きのスムーズ化が図れる
・ 変更する場合は、登記名義人氏名更正登記を申請することで統一が可能

氏名の表記統一は、スムーズな事業運営や各種手続きの円滑化につながるため、早めの対応をおすすめします。
更正登記、会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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