取締役会議事録のポイント―決議要件から書面決議(みなし決議)の活用まで
取締役会議事録の重要性と基本ルール
取締役会は、会社の業務執行の決定や取締役の職務の監督を行う重要な意思決定機関です。
そのため、取締役会で行われた決議内容を適切に記録し、後日確認できるようにするために「取締役会議事録」の作成が必要となります。
会社法では、取締役会を設置している株式会社は、議事録を作成し一定期間保管することが義務付けられています(会社法369条、371条)。
適切な議事録の作成・管理は、会社の意思決定の透明性を確保し、取締役の責任を明確にするために不可欠です。
また、取締役会を実際に開催せずに決議を行う「書面決議(みなし決議)」 という方法もあります。
これは、迅速な意思決定を可能にする有効な手段ですが、要件を満たさないと決議が無効になるリスクもあります。
本記事では、取締役会の基本ルールや決議要件、議事録の作成方法、書面決議(みなし決議)の活用について詳しく解説します。
取締役会の開催と決議要件
① 取締役会の招集と開催の流れ
取締役会は、原則として各取締役が招集できますが、定款や取締役会の決議により「招集権者」を定めることも可能です(会社法366条1項)。
また、取締役会を招集する場合には、原則として1週間前までに取締役および監査役に対し通知を行う必要があります(会社法368条)。
ただし、全員の同意があれば招集手続きを省略することも可能です。
② 取締役会の決議要件
取締役会で決議を行うためには、以下の要件を満たす必要があります(会社法369条)。
決議の成立要件
・議決に加わることができる取締役の過半数が出席すること
・出席した取締役の過半数の賛成を得ること
特別の利害関係を有する取締役は議決に参加できない
・取締役が会社と利益相反関係にある場合、その取締役は議決権を行使できません。
取締役会の書面決議(みなし決議)とは?
① 書面決議(みなし決議)の概要
取締役会の書面決議(みなし決議)とは、取締役会を実際に開催せず、書面または電磁的方法により決議を行う方法です(会社法370条)。
これにより、時間や場所の制約を受けずに迅速な意思決定を行うことが可能になります。
② 書面決議の要件
書面決議を有効に成立させるためには、以下の要件を満たす必要があります。
・全取締役が書面または電磁的記録による同意をすること
取締役会を開かずに決議を行う場合、すべての取締役が書面または電子メールなどで同意の意思表示をする必要があります。
1人でも反対する取締役がいる場合、書面決議を行うことはできません。
・監査役が異議を述べていないこと(監査役設置会社の場合)
監査役設置会社では、監査役が異議を述べると書面決議は無効になります。
・定款に書面決議を認める規定があること
書面決議を行うには、定款にその旨を定めておく必要があります。
取締役会議事録の作成と保管
① 議事録の記載事項(会社法施行規則101条)
取締役会の議事録には、以下の内容を記載する必要があります。
通常の取締役会の場合
・議事の経過の要領およびその結果
・特別の利害関係を有する取締役の氏名
・取締役会の議長の氏名(必要に応じて)
・出席した取締役および監査役の氏名
・出席取締役および監査役の署名または記名押印
書面決議(みなし決議)の場合
・提案を行った取締役の氏名
・決議があったものとみなされた日
・書面決議を行ったことに関する取締役全員の同意の意思表示の記録
② 取締役会議事録の保管義務
作成した取締役会議事録は、本店に10年間備え置くことが義務付けられています(会社法371条)。
なお、支店での保管義務はありません。
手続きに関するご依頼・ご相談
取締役会は、会社の重要な意思決定を行う場であり、その決議内容を適切に記録し管理することが求められます。
特に、書面決議(みなし決議)を活用する際には、全取締役の同意が必要であること、監査役の異議がないこと、定款の定めがあること などの要件を満たすことが不可欠です。
また、取締役会議事録は、法的に10年間の保管が義務付けられているため、適切な管理を行いましょう。
当事務所では、取締役会議事録の作成や書面決議のサポートを行っております。
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