クラウドサイン / 株主総会

株主総会の招集通知と委任状の電子化について

招集通知や委任状の電子化

近年、デジタル技術の発展やリモートワークの普及により、会社の運営にも電子化の流れが加速しています。特に、株主総会に関する手続きにおいても、招集通知や委任状の電子化を進める動きが見られます。
本コラムでは、株主総会の招集通知の送付と委任状の提出について、電子化が可能かどうか、またその際の要件について解説します。

株主総会の招集通知の電子化

(1)会社法上の規定
株主総会の招集通知について、会社法第299条では以下のように規定されています。

公開会社の場合:株主総会の2週間前までに通知を発する必要がある。
非公開会社の場合:株主総会の1週間前までに通知を発する必要がある(ただし、定款でこれを短縮することも可能)。

また、原則として取締役会設置会社や、書面投票・電子投票を導入している会社では、「書面」による通知が必要とされています(会社法299条2項)。

(2)電子化の可否
会社法299条3項により、株主の承諾を得ることで、書面の送付に代えて電磁的方法(電子メールやWeb掲載など)による通知が可能とされています。
この際、会社法施行令第2条に基づき、電子化を行うためには、事前に以下の対応が必要です。

・ 株主に対して、電子通知の種類や内容を示す
・ 書面または電磁的方法で、株主の承諾を得る

つまり、株主が事前に承諾していれば、書面ではなく電子メールやWebサイト掲載での通知が可能 ということになります。

実務上のポイント

非公開会社で、書面投票・電子投票を導入していない場合 → 書面での通知義務がないため、原則として自由な方法で通知が可能(電子メールでもOK)。
公開会社や、取締役会設置会社の場合 → 株主の個別承諾を得ることで電子化が可能。
株主の承諾が得られない場合 → 従来どおり、書面での通知が必要。

株主総会の委任状の電子化

(1)会社法上の規定
株主は、代理人を通じて議決権を行使することができます(会社法310条1項)。その際、代理権を証明するための書面(委任状)を会社に提出する必要があります。
ただし、会社法310条3項により、以下の条件を満たせば、書面の提出に代えて、電磁的方法(電子署名付きのデータなど)で委任状を提出することが可能 です。

・ 会社の承諾を得ること
・ 電磁的方法(電子署名付きのPDFやクラウドサービスなど)で提供すること

電子化の可否

会社が電子委任状の提出を認める場合、電子署名を付与したPDFや、電子契約サービス(DocuSignやクラウドサインなど)を活用することで、委任状の電子化が可能 となります。
ただし、委任状の電子化を導入する場合、

・どの形式の電子署名を認めるか(電子証明書の活用など)
・提出方法をどうするか(クラウドサービス・電子メール送信など)
・偽造やなりすましを防ぐ対策

といった点を事前に検討しておくことが重要です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、株主総会の招集通知と委任状の電子化について解説しました。
本コラムのまとめは以下のとおりです。

株主総会の招集通知 → 株主の承諾を得ることで電子化が可能。
委任状の提出 → 会社が認めれば、電子署名付きデータでの提出が可能。
非公開会社の方が電子化しやすい(特に書面投票・電子投票を導入していない場合)。

株主総会の手続きは、今後ますます電子化が進んでいくことが予想されます。
電子化を検討する際には、会社法の規定を確認し、株主の利便性や実務上のリスクを考慮しながら、適切な対応を取ることが重要です。
会社法人登記・商業登記に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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