特例有限会社が存続会社となる吸収合併の手続きとは?注意点やタイミングなど
特例有限会社が吸収合併の存続会社になるには?
特例有限会社は、会社法上「株式会社」として扱われるものの、吸収合併の存続会社にはなれません(整備法37条)。
そのため、事前に株式会社に移行するか、移行を前提に合併手続きを進める必要があります。
本コラムでは、特例有限会社が存続会社となる吸収合併を行う場合の手続きや留意点について解説します。
株式会社への移行のタイミング
特例有限会社が存続会社となる合併を行う場合、「いつまでに株式会社に移行しなければならないのか?」が重要な論点となります。
結論としては、合併の効力発生日(合併期日)の前日までに、株式会社への移行登記を完了させておく必要があります。
なぜなら、合併の効力は「合併期日(契約で定めた効力発生日)」に発生しますが、株式会社への移行は「登記の完了」をもって効力を生じるためです(整備法45条)。
したがって、合併の効力発生日にはすでに「株式会社」となっていなければなりません。
株式会社への移行と合併の登記は同時申請できる?
特例有限会社の株式会社化と吸収合併の登記を同時に申請(連件申請)することはできません。
なぜなら、商号変更(株式会社への移行)登記の完了が、吸収合併存続会社となる前提条件だからです。
例えば、
正しい進め方 → 合併期日の前日までに株式会社への移行登記を完了させる
この点を誤ると、合併の効力が生じず、手続きが無効となるリスクがあるため、十分に注意が必要です。
具体的な手続きの流れ
株式会社への移行の準備
・株主総会で「株式会社への移行(商号変更)」を決議
・株式会社への移行登記の準備
吸収合併の手続き
・合併契約の締結(「株式会社への移行を前提とする」旨を条件付きで明記)
・債権者保護手続(公告・個別催告)
・株主総会で吸収合併の承認
株式会社への移行登記
・合併効力発生日の前日までに登記を完了
吸収合併登記
・合併期日に合併の効力が発生し、登記を申請
注意点
・商号変更と合併登記の同時申請は不可である
・効力発生日の前日までに商号変更を完了させることが必須である
特例有限会社が存続会社となる吸収合併は、通常の合併手続きに加え、「株式会社への移行」というプロセスが必要になるため、スケジュール管理が重要になります。
確実な手続きを進めるためにも、事前に専門家に相談しながら慎重に進めましょう。
手続きのご依頼・ご相談
本日は特例有限会社が存続会社となる吸収合併の手続きについて解説しました。
有限会社から株式会社への移行手続や合併手続きなど会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。