社外取締役が業務執行取締役になった場合の登記手続きを解説、社外性喪失の登記
社外性喪失の登記
監査等委員会設置会社などで、社外である旨の登記がされている社外取締役が業務執行取締役へ変更となった場合、法務局への「社外性喪失の登記」が必要です。この記事では、社外取締役の要件と、社外性喪失時の登記手続きの要点を解説します。
1. 社外取締役の要件
会社法上、取締役の「社外性」が登記事項(会社法911条3項18号)となっており、社外要件を満たさなくなった場合は変更登記が必要です。
(1)社外取締役の要件(会社法2条15号)
以下のいずれにも該当しない者が社外取締役とされます。
・現在、当該会社やその子会社の業務執行取締役・執行役・支配人でないこと
・過去10年間、当該会社やその子会社の業務執行取締役・執行役・支配人でなかったこと
(2)業務執行取締役とは?
以下のいずれかに該当する取締役は、「業務執行取締役」とみなされ、社外取締役ではなくなります。
・代表取締役
・取締役会決議により業務執行を委任された取締役
・取締役会を設置しない会社の取締役(=業務執行取締役)
つまり、社外取締役が代表取締役や業務執行取締役になった場合、「社外性喪失の登記」が必要です。
2. 社外性喪失の登記手続き
(1)登記申請が必要なケース
社外取締役である旨の登記がされている社外取締役が以下の立場になった場合、変更日から2週間以内に「社外性喪失の登記」を行います。
・代表取締役に就任した場合
・業務執行を委任された場合(取締役会決議あり)
・取締役会非設置会社の取締役になった場合
(2)必要書類
この登記に関しては登記申請書の他に特別な添付書類はなく、司法書士などの代理人に依頼する場合は、登記委任状にその旨を記載することで手続きが可能です。
(3)申請先・登記完了までの期間
申請先:本店所在地の管轄法務局
期間:申請後1〜2週間程度で登記完了
登記を怠ると、法的リスクや信用リスクにつながるため、変更が生じた際は速やかに登記申請を行いましょう。
本日は、社外取締役が業務執行取締役になった場合の登記手続きを解説しました。
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